6 / 27 [金] 公開
2024年、劇団☆新感線44周年興行·夏秋公演として博多·東京·大阪で上演した『バサラオ』。本作では2016年の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン !~ 』で共演し、近年では2019年の『偽義
経冥界歌』で主人公·源九郎義経を演じた生田斗真、2021年の『狐晴明九尾狩』で主人公·安倍晴明を演じた中村倫也の2人がバディを結成! 絶世の美貌を使って世をバサラに染め上げようとする妖艶な男·ヒュウガと、その美に惹かれたか、その軍師となった飄々とした男·カイリを演じた。
この2人と絡み合う、クセ強な役どころを演じるのは西野七瀬、粟根まこと、りょう、古田新太。「どいつもこいつも、どうかしてる」。しかし陰惨ではなく、からりと我が道を行く人物たちが、新感線流の心躍る時代エンターテインメントを立ち上げた。
舞台となる時代は、脚本の中島かずきが史実をもとにしつつ発想した、南北朝時代ならぬ東西朝時代。
ヒュウガと彼の野心に巻き込まれた者たちによる裏切りに次ぐ裏切り、逆転に次ぐ逆転のストーリーテリングはまさに新境地。いのうえひでのりの演出は、笑いとケレン味を交えながら人間の生と欲望の生々しさを描き出し、観客を衝撃のラストへと誘う。
華麗な歌や踊り、そして鮮やかな殺陣で魅せる作品の見どころを多くのカメラ機材、練達のカメラワークで収録。さらにスクリーンでの鑑賞を前提にしたゲキ×シネ独自の映像編集と鮮烈な音響効果により、劇場での臨場感も再現。映像だからこそ可能な没入体験を実現している。
映画館の大スクリーン、そして音響効果によって堪能できるディテールに刮目するとともに、新感線史上屈指の美にあふれる世界に酔いしれてほしい。
ヒノモトと呼ばれるこの国ではミカドや貴族に代わり、武家の棟梁である将軍が政を行なっていた。だが幕府が開かれて百数年が経った今、将軍は名目だけの存在となり、実権は執権のキタタカ(粟根まこと)が握っている。
ゴノミカド(古田新太)は天下を取り返そうと倒幕を企てるが失敗。捕らえられて沖の島に島流しにされていた。そのミカドの様子をキタタカに報告した幕府密偵のカイリ(中村倫也)は、今回を最後に密偵を辞めたいと申し出るが、寝返りを邪推されて殺されそうになる。その場から逃れたカイリは、通りかかった広場でヒュウガ(生田斗真)が開くバサラの宴に遭遇する。狂い桜の下で女たちとともに歌い踊るヒュウガ。幕府の役人たちが現れ女たちを取り戻そうとするが、女たちはヒュウガを守るために役人たちに襲いかかって散っていく。
死んだ女たちを葬らず立ち去ろうとするヒュウガに怒るカイリ。ヒュウガはうそぶく。
「この女達の血を吸って、狂い桜はいっそう美しく真っ赤な花を咲かす。美の輪廻だ。その美の真ん中にあるのがこの俺だ」。
それがバサラと言い切るヒュウガ。その生きざまに惹かれたか、カイリはヒュウガの軍師となる。
さらに自分の首を取ろうと現れた女大名·サキド(りょう)に、ヒュウガはこうもちかける。
「本当に俺の首でいいのか。ミカドの首ならどうだ」。
ミカドの首を取ってくると言うヒュウガに、ひと月待とうと答えるサキド。ヒュウガは沖の島に乗り込んでミカドの守護役·アキノ(西野七瀬)と戦い、ゴノミカドを担ぎ出すことに成功。サキドも加勢し、ミカドはついに都に帰還を果たす。だが貴族ばかりを重んじるミカドに武士の不満は高まっていく。
己の美学を貫くため、さらなる謀略をめぐらすヒュウガ。その光の果てにあるものは―。