ロブ・ゾンビ監督が『マーダー・ライド・ショー』『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー 2 』に続いて贈るシリーズ第三弾。殺戮大好き一家のキャプテン・スポールディング、オーティス、ベイビーは警官隊の銃撃から生き残り、刑務所に入れられる。死刑を逃れたオーティスとベイビーはオーティスの腹違いの兄弟フォクシーの協力で脱獄、メキシコを目指す。狂気度を増した殺人行脚が繰り広げられる血塗れのロードムービー。
ロブ・ゾンビは自分が好きな映画を作り続けている。「自分が好きな映画」にするために、まずやるべきことは自分が好きで好きで仕方のないあれこれを作品内に過剰なまでに取り入れることだ。殺人ファミリー、ファイアフライ一家サーガの完結編となる本作もそのように作られており、その結果、本作はロブ・ゾンビの脳内を直接プロジェクターにかけたかような、特異な映像体験をもたらすものとなった。そこはマンソン・ファミリーが、『女体拷問人グレタ』が、ミケーレ・ソアヴィの『アクエリアス』が、サンタ・ムエルテとナイフ片手に手を取り合って踊り狂い殺し まくる、どぎつくカラフルでどこまでも「アメリカン」な地獄世界なのである。ーー高橋ヨシキ