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【シッチェス映画祭2020】ザ・ヴィジル~夜伽~THE VIGIL

ユダヤ教にホロコースト…オカルトホラーに宗教や歴史が絡み合う異色作

ユダヤ教の信仰を捨てた若者ヤコブは、死人の棺を一晩見守るというユダヤ教の慣例にある役割を謝礼目当てで引き受ける。しかし認知症を患う未亡人は何かにひどく怯えており、ヤコブもまた恐るべき存在と対峙していることに気づく。ジャンルとしてのオカルトホラーに、ユダヤ教やホロコーストの歴史を組み合わせた異色作。本作が長編監督デビューとなるキース・トーマスが、見えないものへの恐怖をじわじわと煽る演出の冴えで魅せる。

監督
:キース・トーマス
出演
:デイヴ・デイヴィス、メナッシュ・ラスティグ、マルキー・ゴールドマン、リン・コーエン

「超正統派」と呼ばれるユダヤ教の一派は、(よく言えば)ミステリスで奇妙な生活を送っている。アメリカの「超正統派」のほとんどは本作の舞台となっているニューヨークに集中しているが、彼らは外界と隔絶した状況でカルト的なコミュニティを形成している(「超正統派」を追った Netflix のドキュメンタリー『ワン・オブ・アス』は本作の良き副読本である)。『ザ・ヴィジル』の主人公は「外」の世界に対して怯えている。外界との関わりにおける個人的な、そして集団的な記憶が彼の恐怖の源泉なのだがーーだとしたら、実のところ、彼の「怯え」の構造は我々自身のそれとまったく同じではないだろうか? 「恐怖」は外部からもたらされるのだ。ーー高橋ヨシキ