ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。アレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように激しく惹かれ合うふたりだったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。そのとき、彼女は自らの宿命に直面しなければならなかった・・・。官能的なバッハの旋律にのせて、繊細に描写されるミステリアスな愛の叙事詩。
ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞した『東ベルリンから来た女』など、ドイツの激動の歴史を描き社会派として知られるペッツォルト監督が、新作に選んだのは"水の精 ウンディーネ"神話。"精霊三部作"の第一作目として制作し、今後「地の精」と「風の精」の撮影を予定している。「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という切ない宿命を背負ったウンディーネの物語を、現代都市ベルリンに幻想的に蘇らせた。