ダニエル・シュミット監督作の日本での初劇場公開作として脚光を浴び、その後の『ラ・パロマ』(74)公開等に連なる熱狂的なシュミット・ブームの口火を切ったのが、この『ヘカテ』。ひとたびその優美な肌触りに触れたら、誰もが自分ひとりで独占したくなるシュミットの世界。その秘密の扉を開いた名作が完全修復され、流麗な姿でスクリーンに甦ります。
1942年、第二次大戦中の中立国スイスの首都ベルン。フランス大使館主催の豪華絢爛なパティーで、ひとり遠くを見つめる外交官ジュリアン・ロシェル。シャンパンの泡沫に誘われて、ある女のことを思い出す。かつて、狂ったように愛した女のことを──。