実家の美容室を手伝いつつ、鳴かず飛ばずな劇団「劇団50%」を主催している斎藤麻奈美(松井玲奈)のもとに、ある日、東京で働いていた妹・尚(筧美和子)が死亡したという知らせが入る。劇団員の結婚祝いで集まって馬鹿騒ぎをしていた同じ夜、尚は資材置場で亡くなっていたのだ...。その日、麻奈美は尚からの着信があったにもかかわらず電話に出なかったのである―。
劇作家として成功するために頑張ってはいるが過去の過ちから逃れたままで、本当の自分を見失ってしまっている麻奈美だったが、妹の死をきっかけに過去と向き合う事になる。それは明るく天真爛漫に見えた妹の尚が抱えていた孤独や、母が秘密にしてきた嘘などが明らかとなる...。
メガフォンをとったのは、元・役者であり現在は会社員として働きながら映画監督としての夢も果たした新進気鋭の監督・前田聖来。どこか歪んだ今の時代に不器用にもまっすぐ生きる女性を描き出した。言葉に出来ない主人公の心の機微を丁寧に表現し、静かな流れながら、過去や自分から逃げることなく強く生きる強さに心揺さぶられる力強い作品が誕生しました。