第88回アカデミー賞国際長編部門で外国語映画賞を受賞した『サウルの息子』をはじめ、『ニーチェの馬』『心と体と』『この世界に残されて』などの良作を送り出してきたハンガリーのアカデミー賞 国際長編映画部門代表作。2022年に開催となる第94回の代表作には、各国の映画賞で注目を集める異例の「ホラー映画」が選出された。世界の映画祭でも24部門受賞43部門ノミネート(2021年11月時点)となっており、世界中の批評家・映画ファンからも注目を集めている。
監督は、ハンガリー史上初の国際エミー賞にノミネートされたTVシリーズ「Trezor」の監督を務めたピーター・ベルゲンディ。子供の頃からホラー映画が好きだった彼が、ハンガリーの歴史と密接に関わるホラー映画を作りたいとの構想のもと、第一次世界大戦直後のスペイン風邪の大流行の際に犠牲となった「歴史的な痛みを伴う」幽霊をモチーフにストーリーを紡ぎあげた。美術セットや小物にも、そんな時代背景を表現するこだわりのアンティークが使用されている。また主人公の職業となっている「遺体写真(ポストモーテムフォトグラフィー)」は歴史上実際に行われていた経緯もあり、特にヴィクトリア朝時代には自然に庶民の間で行われていた。歴史的な背景と異色の設定を持つ新しいホラーに注目だ。
第一次世界大戦で瀕死の重傷を追いながら帰還した兵士である主人公の「トーマス」は、死体と遺族を撮影する”遺体写真家”として生計を立て暮らしていた。彼はある日仕事の依頼を受けてとある村に向かうが、なんとそこは何百もの悪霊が憑依した呪われた村だったのだ。彼は村に住む少女「アナ」と協力しながら霊を写真に写す事でその秘密を明らかにしていくが、怒った霊はあらゆる手段を用いて2人を追い込んでゆく。果たしてトーマスとアナは、呪われた村から帰還する事ができるのか?