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ジャック・リヴェット映画祭【デジタルリマスター版】

夢と 魔法と 冒険と
リヴェット映画の真の魔術が、ついに日本で明かされる

【鑑賞料金】

[一般]1,900円
[TCGメンバーズカード割引]カードのご提示で1,300円 / 毎週火曜・木曜は1,100円
[大学生]1,500円
[高校・中学生・シニア]1,000円
[水曜サービスデー割引]1,200円


リヴェットはフランス映画史上最高の魔術的ファンタジーの作家である。
『セリーヌとジュリーは舟で行く』のヒロインは魔法のボンボンを食べて異世界へ行き、殺人事件をめぐる冒険に飛びこむ。まるで不思議の国のアリスのように。
『デュエル』は、太陽の女と月の女が決闘する話。『ノロワ』は、弟を殺された女が海賊の女首領に復讐する話。『北の橋』では、二人組の女がパリを双六の盤のように回って敵を探す。心躍る冒険の数々。
その女たちの魅力なこと! リヴェットの魔法映画で大活躍するのはつねに美しい女の子なのだ。
彼女たちの纏う衣裳の華麗さにもうっとりする。原色を大胆にちりばめた色彩にも。迷宮のような舞台設計にも。自由自在に空間を広げるカメラの動きにも。
リヴェット映画の真の魔術が、ついに日本で明かされる。

中条省平(フランス文学者・映画評論家・学習院大学文学部教授)

ジャック・リヴェット Jacques Rivette

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1928年3月1日、フランス北部の都市ルーアンに生まれる。
49年にパリのシネマテークでフランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメールらに出会う。ロメールが主宰するシネクラブ・デュ・カルティエ・ラタン発行の機関誌「ラ・ガゼット・デュ・シネマ」に携わるものの、「カイエ・デュ・シネマ」誌の創刊に合わせ同誌は廃刊、以後「カイエ」誌にて多くの優れた映画批評を執筆。
63年から3年間に渡って「カイエ」誌の編集長を務めている。
映画監督としては49年に初の短編を、そして56年にはクロード・シャブロル製作で『王手飛車取り』を発表。60年に『パリはわれらのもの』で長編映画デビュー。以降、内容が反宗教的と判断され一時上映禁止となったアンナ・カリーナ主演の『修道女』(66)や12時間を超える長尺作『アウト・ワン』など話題作を手がける。今回上映される『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(74)をはじめとした5作は、ヌーヴェルヴァーグの作家たちの中でも極めて個性的だったリヴェットが最も精力的に活動していた中期の作品群にあたる。
その後も『地に堕ちた愛』(84)、『彼女たちの舞台』(88)など傑作を連発、中でも第44回カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞した『美しき諍い女』(91)は我が国でも多くの観客を集めた。2000年代に入っても創作意欲は衰えず、『恋ごころ』(01)、『ランジェ公爵夫人』(07)などで瑞々しい感性を見せるも、2016年1月29日、パリにて死去。87歳没。

■上映作品

『セリーヌとジュリーは舟でゆく』

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公園のベンチで魔術の本を読んでいた司書のジュリーが魔術師セリーヌと出会ったことからはじまる奇妙な冒険、そしてある殺人事件のにおい。「不思議の国のアリス」的迷宮を思わせる冒頭から始まる本作はセリーヌ役のジュリエット・ベルトとジュリー役のドミニク・ラブリエが書き始めた台本から出発し構成された。幻想と現実の境界線を軽やかに飛び越えて自由に入れ替わる主人公たちのユーモラスなやりとりや70年代を象徴するサイケデリックな衣装も楽しく、遊び心に溢れたファンタジーの傑作にしてリヴェットの人気作。劇中で起こる屋敷内の事件はヘンリー・ジェイムズの小説から翻案された。

原題:Celine et Julie vont en bateau 監督:ジャック・リヴェット 脚本:ジュリエット・ベルト、ドミニク・ ラブリエ、ビュル・オジェ、マリー=フランス・ピジエ、ジャック・リヴェット 台詞 : エドゥアルド・デ・グレゴリオ 撮影:ジャック・ルナール 製作:バーベット・シュローダー 1974年/フランス/カラー/193分 ©︎1974 Les Films du losange

『デュエル』日本劇場初公開

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現代のパリを舞台に、地上での生を受けるため魔法の石をめぐって太陽の女王と月の女王が対決するファンタジー。リヴェットはジェラール・ド・ネルヴァルの小説に着想を得て、ラブストーリー、犯罪劇、西部劇、ミュージカル・コメディといった内容の<火の娘たち>と称した4部作を構想し、本作はその“犯罪劇”にあたる。奇想天外なおとぎ話のような題材を挑戦的なフィルム・ノワールの要素を盛り込んで表現し、超現実的で詩的な美しさを達成した。決闘者の女ふたりに扮するはリヴェット映画の常連ジュリエット・ベルトとビュル・オジェ。

原題:Duelle 監督:ジャック・リヴェット 脚本:エドゥアルド・デ・グレゴリオ、マリル・パロリーニ、ジャック・リヴェット 台詞: エドゥアルド・デ・グレゴリオ 撮影: ウィリアム・リュプチャンスキー 製作:ステファン・チャルガジエフ 出演:ジュリエット・ベルト、ビュル・オジェ、ジャン・バビレ 1976年/フランス/カラー/121分 ©︎1976 SUNSHINE / INA.Tous droits réservés.

『ノロワ』日本劇場初公開

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女海賊モラグは弟の仇を討つために孤島の城を占拠する海賊団のリーダー、ジュリアに復讐を誓う。『デュエル』と同様、対決するふたりの女性を描く本作は4部作<火の娘たち>の2作目であり西部劇として作られたが、リヴェットの魔術にかかれば時代やジャンルを問わない作品へと変貌する。ブルターニュ沿岸の12世紀の要塞と17世紀に再建された城といった壮観なロケーションで繰り広げられる物語の中で虚構と現実がぶつかり合い、死の舞踏が振り付けられてゆく。構想された4部作は本作を最後に未完のまま幕を閉じるが、リヴェットが誘う奇妙な酩酊に満ちた世界は今後もさらに深化する。

原題:NOROÎT 監督:ジャック・リヴェット 脚本:エドゥアルド・デ・グレゴリオ、マリル・パロリーニ、ジャック・リヴェット 台詞: エドゥアルド・デ・グレゴリオ、マリル・パロリーニ 撮影: ウィリアム・リュプチャンスキー 製作:ステファン・チャルガジエフ マーク・モーレット 出演:ベルナデット・ラフォン、ジェラルディン・チャップリン、キカ・マーカム 1976年/フランス/カラー/135分 ©︎1976 SUNSHINE / INA.Tous droits réservés.

『メリー・ゴー・ラウンド』日本劇場初公開

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ベンジャミン(ベン)は元恋人エリザベスから電報を受け取りパリへ向かうが、そこにいたのは彼女の妹レオだった。ふたりのライバルが『デュエル』『ノロワ』とは異なり今度は男と女になり、謎に支配された舞台で終わることのない追いかけっこが繰り広げられる。レオ役を演じたマリア・シュナイダーやリヴェット自身の個人的な問題により撮影は長引き混乱を極めるも、長編第一作である『パリはわれらのもの』で導入されたテーマを家族間の復讐やパラノイアを絡めメランコリックなミステリーとして見事に再構築した。ベンを演じるのはアンディ・ウォーホルに見出された俳優ジョー・ダレッサンドロ。またレオとエリザベスの父親には名優モーリス・ガレルが扮している。

原題:Merry-Go-Round 監督:ジャック・リヴェット 脚本:エドゥアルド・デ・グレゴリオ、スザンヌ・シフマン、ジャック・リヴェット 台詞: ドゥアルド・デ・グレゴリオ 撮影: ウィリアム・リュプチャンスキー 製作: ステファン・チャルガジエフ 出演:ジョー・ダレッサンドロ、マリア・シュナイダー、ダニエル・ジェコフ、モーリス・ガレル 1981年/フランス/カラー/161分 ©︎1979 SUNSHINE / INA.Tous droits réservés.

『北の橋』

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『セリーヌとジュリーは舟でゆく』が「不思議の国のアリス」ならば、ビュル・オジェと実娘のパスカル・オジェ共演作である本作はリヴェット版現代の「ドン・キホーテ」。ビュルとパスカルは撮影前にリヴェットに渡された「ドン・キホーテ」に魅了されたのだと言う。突然現れた閉所恐怖症の女テロリストのために、彼女の昔の恋人との連絡を引き受ける少女バチストは鎧の代わりに革ジャンを羽織り、馬の代わりにバイク、兜の代わりにヘルメットをかぶってドン・キホーテを演じてみせる。パリの街と符号する双六ゲームの上で、日常を生きながらにして幻想に駆られた俳優たちの身体と、現実の中から立ち現れてくるファンタジーが結びつく興味深い一編。

原題:Le Pont du Nord 監督:ジャック・リヴェット 脚本:ビュル・オジェ、パスカル・オジェ、シュザンヌ・シフマン、ジャック・リヴェット 台詞:ジェローム・プリウール 撮影: ウィリアム・リュプチャンスキー、カロリーヌ・シャンプティエ 製作:バーベット・シュローダー、ジャン=ピエール・マオ 出演:ビュル・オジェ、パスカル・オジェ、ピエール・クレマンティ 1981年/フランス/カラー/127分 ©1981 Les Films du losange