過去のトラウマから恋愛に臆病になっている葉月は、憧れの上司・栞に秘かに想いを寄せている。一方、凛とした佇まいの栞もまた、夫との関係に思い悩んでいた。ある大雨の晩、お互いの心の隙間を埋めるかのように身体を寄せ合い一線を越えてしまうふたりだが・・・。34年ぶりのロマンポルノで原点回帰を果たした金子修介監督。美麗なWヒロインが「ROMAN PORNO NOW」のラストを飾る。
女性同士の恋愛(百合)を描く本作、1988年に製作終了になるまで、ロマンポルノでも数多くの百合映画の名作が生み出された。ロマンポルノ作品の『宇能鴻一郎の濡れて打つ』(84)で監督デビューを飾った金子監督の第2作となる『OL百合族19歳』(84)もその1本。今回、かつてのロマンポルノを撮っていた監督が新作も手がけるという、過去と現在を結ぶ「ROMAN PORNO NOW」ならではの企画が実現した。
W主演として、上司に想いを寄せる葉月役を、大学在学中に出演した『最低』(09)で女優デビューを果たした小宮一葉、夫との関係に思い悩みながらも葉月に気持ちに応えていく栞役に、写真家としても活動する花澄が抜擢された。ヒロインを支える共演に百合沙、行平あい佳、宮崎吐夢がドラマを盛り上げる。
本作は、ふたりのヒロインが果敢に挑戦し、身も心もさらけ出す繊細な関係を表現するため、
性的なシーンに立ち会いサポートするインティマシーコーディネーターを導入し、女性同士の親密シーンを演じやすくする環境が整えられた。
過去の恋の痛みに苦しみながらも、一途に想いを募らせる葉月。そんな彼女との出会いから、ありのままの自分をみつめることになる栞。金子監督が円熟の演出で女性同士の性を美しく描き、純度の高い大人の愛にどこまでも寄り添う。根強いファンが多いロマンポルノ百合映画の王道である。
社会人になった今も忘れることができない過去のトラウマから恋愛に臆病になっている葉月(小宮一葉)は、颯爽とした美しい上司の栞(花澄)に秘かに惹かれている。彼女は葉月の深爪にも、いちはやく気づく繊細な観察眼も持っている。栞の夫は同じ社内でスクープを連発する週刊誌の凄腕編集長・澤田稔(宮崎吐夢)。コンプライアンスもセクハラもどこ吹く風で、葉月と同期の水島華(百合沙)と堂々と社内不倫している。栞は、夫の不倫に加えて室長に抜擢されたプレッシャーも重なり、焦りと虚無感にさいなまれている。
ある夜、傘を忘れた栞を追いかけて行った葉月は、ラブホテルの軒先で雨宿りをしていた栞を見つける。雨に濡れた葉月を案じてシャワーを浴びようとホテルへ誘う栞。ベッドの上で葉月が思いを告げると、栞は戸惑いながらも、葉月の想いとともに彼女の深爪も受け入れてしまうーーー。