東京テアトル配給作品

千年の祈り

83分 日・米合作 東京テアトル配給作品

  • 第55回サン・セバスチャン国際映画祭:最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞、CEC最優秀賞 受賞

ぎこちないけど、いちばんあたたかい。

アメリカで暮らす一人娘が離婚した。老いた父は娘の身を案じ、はるばる北京からやってきた。妻に先立たれた後に覚えた料理を作り、娘の帰りを待つ。しかし、食卓を囲む二人に交わされる会話は少ない。
「幸せな人は、そんなに無口じゃないはずだ」。「お父さんだって無口だったじゃない。お父さんは幸せじゃなかったの?」。
父は長い間、家族を守るために一つの"嘘"をつき続けていた。それに気づいていた娘は、素直に心を開くことができず、父の問いかけにも離婚の本当の理由も明かせないままだ。お互いを労わり思い遺る気持ちに偽りはないのに・・・。故郷を遠く離れた異国の地で、向き合うことになる不器用な父と娘。ふたりの想いは、祈りにも似て・・・。

監督
:ウェイン・ワン『スモーク』
原作・脚本
:イーユン・リー
出演
:ヘンリー・オー/フェイ・ユー他
原作
: 「千年の祈り」(新潮社刊 新潮クレスト・ブックス)

フランク・オコナー賞に輝く 珠玉のベストセラー小説を 『スモーク』のウェイン・ワン監督が 完全映画化!

日本では、村上春樹が受賞したことで知られるフランク・オコナー国際短編賞。その栄えある第1回を、いきなりデビュー短編集「千年の祈り」で受賞し、世界から注目を集めたイーユン・リー。北京で生まれ、北京大学卒業後に渡米し、英語で小説を書く女性作家だ。その他にも、権威ある賞を次々と受賞し、『グランタ』の「最も有望な若手アメリカ作家」の一人にも選ばれた。
高く評価されたその小説に魅せられたのが、『スモーク』のウェイン・ワン監督。敬愛する小津安二郎監督作品の世界観に通じるものを感じたと、映画化を切望した。『トウキョウソナタ』のプロデューサー、木藤幸江の協力を得て、イーユン・リー自らも脚色に参加、ワン監督と共に映像的効果を熟考したストーリーを練り上げた。
中国人作家と俳優たち、香港出身の監督、そして日本人プロデューサー。ここに、アジアの血が流れるアメリカ映画という、未来を予感させるアンサンブルが完成した。本作は、言葉や国境を超越した人と人のつながりを見つめ直す世界の人々の胸に響き、第55回サン・セバスチャン国際映画祭では、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞、CEC最優秀賞を受賞した。