『クイール』(04年)、『ベルナのしっぽ』(05年)…無償の愛に生きる盲導犬の物語は、いくつもの作品の中で描かれ、多くの人々の心を温かな感動で包みこんできました。そして今、より深い感動へといざなう、もうひとつの盲導犬の愛の物語『パートナーズ』が誕生しました。主人公は夢も希望もなく刹那的に生きてきた19歳の小山内剛。ひょんなことからチエという盲導犬と出会い、訓練士としてともに奮闘し、心の成長を遂げていきます。
愛はおろか、心さえも失いつつある絶望的な今の若者の心=小山内の心の風景を細やかな演技で紡ぎ出すのは、テレビドラマ『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』(CX)で話題沸騰、映画、CMで大活躍中の若手演技派、浅利陽介。また、大塚ちひろ、夏八木勲、熊谷真美、川上麻衣子、村田雄浩等々、豪華出演者たちも盲導犬チエと至上の愛の物語を綴っていきます。監督は本作品が劇場映画初監督となる、テレビドラマ界の鬼才、下村優。
脚本は数々の映画賞に輝く名匠・荒井晴彦と、気鋭の井上淳一いう夢のようなタッグが実現。リアルで奥深い人間描写の中、これまでにない胸に迫る盲導犬の物語、本作品は、ほんとの愛の厳しさ、温かさ、柔らかさを伝えます。
この新たな感動は、2010年6月に開催された上海国際映画祭において、日本映画では唯一コンペティション部門に選定されるという快挙も成し遂げました。
19歳のフリーター小山内剛(浅利陽介)は、知人の死をきっかけに、盲導訓練士学校に入学した。2年間の研修期間を経て、みごと准訓練士となった剛が初めて担当する訓練犬は、チエだった。生後2ヶ月で、母犬から離され、パピーウォーカーと呼ばれる育ての親、長谷川家で10ヶ月間暮らしたチエは、立派な成犬となり剛の元へと戻ってきた。
剛は、チエを盲導犬にすべく日々奮闘するが、なにかがうまく行かない。思い悩んだ剛は、パピーウォーカーの長谷川家で、もっともチエをかわいがっていた10歳の長女、美羽(近藤里沙)に相談する。美羽が剛に伝えたことは、たったひとことだった。「私はチエをすきだっただけ」―――。そんなある日、剛とチエの前にロックシンガーの真琴(大塚ちひろ)が現れる。
不慮の事故で失明した彼女は、心を固く閉ざしていた。剛はチエとともに、真琴の心を開こうと必死になるが、思いもよらぬ事件がチエに降りかかり、剛、真琴、そして美羽は…。