東京テアトル配給作品

せかいのおきく

89分 日本 東京テアトル制作作品 東京テアトルプロデュース作品 東京テアトル配給作品

  • 第52回 ロッテルダム国際映画祭 ビッグスクリーンコンペティション部門正式出品

<人と人のぬくもり>と<いのちの巡り>を鮮烈なモノクロ映像で描く、新たなる日本映画の誕生

本作の舞台は日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えている主人公おきく(黒木華)は、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と、下肥買いの矢亮(池松壮亮)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう...。貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿を通じて、人と人のぬくもりを描く『せかいのおきく』。人情の機微を見つめ続けてきた阪本順治監督が贈る、至高の日本映画がここに誕生する。

脚本・監督
:阪本順治
出演
:黒木華 寛一郎 池松壮亮 
 
:眞木蔵人 佐藤浩市 石橋蓮司

[ものがたり]

22歳のおきくは、武家育ちでありながら今は貧乏長屋で父と二人暮らし。毎朝、便所の肥やしを汲んで狭い路地を駆ける中次のことをずっと知っている。ある時、喉を切られて声を失ったおきくは、それでも子供に文字を教える決意をする。雪の降りそうな寒い朝。やっとの思いで中次の家にたどり着いたおきくは、身振り手振りで、精一杯に気持ちを伝えるのだった。
江戸末期、東京の片隅。おきくや長屋の住人たちは、貧しいながらも生き生きと日々の暮らしを営む。そんな彼らの糞尿を売り買いする中次と矢亮もまた、くさい汚いと罵られながら、いつか読み書きを覚えて世の中を変えてみたいと、希望を捨てない。お金もモノもないけれど、人と繋がることをおそれずに、前を向いて生きていく。そう、この「せかい」には果てなどないのだー。