上映作品

ジャム DJAMDJAM

エーゲ海の大衆音楽に彩られたガールズ・ロードムービー
私のいる世界。
そこには必ず歌があった。

ロマの人々をテーマに映画を撮り続けてきたトニー・ガトリフ監督が描き出す、自由奔放なガールズ・ミュージカル・ロードムービー。古代ギリシアの詩人、サッフォーの伝説が残るレスボス島、どこまでも青いエーゲ海、さらには美しいイスタンブールの街並。歴史の刻まれた景色を、そこに育まれた文化とともに映し出す本作の主役のひとつはジャムが歌う、ギリシャのブルーズとも言われる音楽、レベティコ。音楽を愛し、音楽と生きるジャムと周囲の人々の魂の底から溢れ出す歌と踊りは、彼らの喜びや悲しみに寄り添いながら、生そのものをのびやかにうたいあげる。

大胆不敵な主人公、ジャムを演じるのはポール・バーホーベン監督の『ベネデッタ』(2021)、レア・ミシウス監督の『ファイブ・デビルズ』(2022)に出演、近年最も注目される女優ダフネ・パタキア。劇中の歌は全て本人が披露しているほか、レベティコを演奏する楽器やベリーダンスも習得し、野生的なエネルギーを漲らせて輝くヒロインを見事に体現。ジャムを見守る継父、カクールゴス役には『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)、『レストレス』(2022)などの映画、舞台で活躍するシモン・アブカリアン。

監督・脚本・音楽
:トニー・ガトリフ
撮影
:パトリック・ギリンゲッリ
編集
:モニック・ダルトンヌ
音楽
:フィリップ・ウェルシュ
出演
:ダフネ・パタキア、シモン・アブカリアン、エレフセリア・コミ、ヤニス・ボスタンツォーグロウ

Story

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音楽とダンスをこよなく愛するギリシャ人の女性ジャムは、レスボス島でレストランを経営する元水兵の継父、カクールゴスとふたりで住んでいる。ある日、船のエンジン部品を調達するため、カクールゴスの代わりにトルコ・イスタンブールへ出かけることに。そこで彼女はフランスから難民支援のボランティアに来たアヴリルと出会う。
喧嘩あり、出会いあり、涙あり、笑いあり・・・・・・
そして音楽に満ち溢れた、ふたりの波乱万丈の旅が始まった!

TONY GATLIF トニー・ガトリフ

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1948年、アルジェリアでロマの血を引く一家のもとに生まれる。アルジェで少年時代を過ごしたのちフランスに渡って放埓な生活を送っていたが、パリ国立高等美術学校で演技や映画製作を学び、1975年に“La Tête en ruines”で長編デビュー。インドからスペインのアンダルシアまでのロマの歩みを音楽を通して描き出すドキュメンタリー『ラッチョ・ドローム』(93)がカンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され注目を浴びる。その後、ロカルノ国際映画祭銀豹賞をはじめ数々の賞を受賞した『ガッジョ・ディーロ』(97)、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した『愛より強い旅』(04)で国際的な名声を確立。他の監督作に『僕のスウィング』(02)、『トランシルヴァニア』(06)、『怒れ!憤れ!ステファン・エセルの遺言』(12)など。また俳優としてオタール・イオセリアーニの『皆さま、ごきげんよう』(15)などに出演する他、作曲家として『ガッジョ・ディーロ』、『ベンゴ』(00)でセザール賞作曲賞を受賞、多才ぶりを発揮。一貫して自身のルーツであるロマの文化や音楽に焦点をあて、躍動感あふれる作品を生み出し続けている。