「この」瞬間、「この」場所で、「この」偶然を
誰の目にも触れない、植物学者と移民労働者が織りなす、些細で優しい日常の断片。他者と出会うことの喜びが、観る者の心をしずかに震わせる。バス・ドゥヴォス監督がその祝祭的世界観をさらに飛躍させた最新作。
アパートを引き払い故郷のルーマニアに帰国するか悩んでいるシュテファンは、姉や友人たちにお別れの贈り物として冷蔵庫の残り物で作ったスープを配ってまわっている。ある日、森を散歩中に以前レストランで出会った女性のシュシュと再会し、そこで初めて彼女が苔の研究者であること知る。シュシュに促されて、初めて意識し見つめたのは、足元に広がる多様で親密な世界。2人の心はゆっくりとつながってゆく......。