生物はおろか、ウィルスさえ生存できない厳寒の南極ドームふじ基地に、8人の男たちが観測隊員としてやってくる。主人公・西村淳の仕事は、隊員のために毎日料理を作ること。ときに贅沢な食材を用いて、手間ヒマかけて作った料理を、全員そろって一緒に食べる。みんなの顔がほころぶのを見ると、何にも替えがたいうれしさがある
遠く離れた日本では、妻と8歳の娘、そして生まれたばかりの息子が待っている。ふとした瞬間に頭をよぎる家族との思い出。すると、なぜだか泣きたい気持ちになってくる。約1年半、14,000キロの彼方にいる家族を思う、究極の単身赴任はまだまだ続く──。
観測隊員たちを待ち受けていたのは、日本の暮らしとはかけ離れた、想像を絶する南極生活。悪戦苦闘の毎日の中で、次第に絆を深めていく隊員たち。笑いもすれば怒りもする。騒ぎたい日もあれば泣きたい日もある。でも、美味しいものを食べれば元気が出る。舞台は極寒、でも心の芯がじんとあたたかくなる魅力的な作品が誕生した。料理がつなぐ人間のドラマは、こんなにも笑いと愛おしさにあふれている!