ウェディングプランナーとして働く梓のもとに、ある日突然届いたのは、親友の叶海が命を落としたという知らせだった。交際相手の澄人との結婚に踏み出せず、生前の叶海と交わしていたトーク画面に、梓は変わらずメッセージを送り続ける。
同じ頃、叶海の両親の朋子と優作は、とある児童養護施設から娘宛てのカードを受け取っていた。遺品のスマホには、溜まっていたメッセージの存在を知らせる新たな通知が。一方、梓は中学時代の記憶をふいに思い出す。大事なときに背中を押してくれたのはいつも叶海だった。梓は思わず送る。「叶海がいないと前に進めないよ」。その瞬間、読まれるはずのない送信済みのメッセージに一斉に既読がついて......。