⼤きな川の上流、⼭間の集落で暮らす少年ユウチャ。⽗は林業に従事し、⺟は病に臥せっていて、⽼いた祖⺟と暮らしている。まだ⾃然豊かな⼟地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台⾵による洪⽔の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて⼦どもたちを集める。その演⽬は、⼟地にずっと伝わる⾥の娘・お葉と⼭の⺠である⽊地屋の⻘年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は⼭奥の淵に⼊⽔、それからというもの彼⼥の涙が溢れかえるように数⼗年に⼀度、恐ろしい洪⽔が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪⽔を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの⾔い伝えに従って川をさかのぼり、⼭奥の淵へ向かう・・・