イギリスの文豪ヘンリー・ジェームズの傑作中編小説「密林の獣」を自由かつ大胆に翻案したこの作品は、2044年の近未来を起点に、100年以上の時を超えて転生を繰り返す男女の物語。3つの時代を生きる主人公のガブリエルは、彼女自身も説明できない忌まわしい強迫観念に取り憑かれている。それは、いつか取り返しのつかない惨事が起こり、彼女とその周りに破滅的な終局がもたらされるという不吉な予感。ガブリエルが前世で被った想像を絶するトラウマとは何なのか。いくつものミステリーが渦巻く物語は、絶え間なく観る者の好奇心をかき立てる。
AIが国家の社会システム全般を管理し、人間の感情が不要と見なされている2044年のパリ。孤独な女性ガブリエル(レア・セドゥ)は有意義な職に就きたいと望んでいるが、それを叶えるにはDNAの浄化によって〈感情の消去〉をするセッションを受けなくてはならない。
人間らしい感情を失うことに恐れを感じながらも、AIの指導に従って1910年と2014年の前世へとさかのぼったガブリエルは、それぞれの時代でルイ(ジョージ・マッケイ)という青年と出会い、激しく惹かれ合っていく。しかしこの時空を超越したセッションは、ガブリエルの潜在意識に植えつけられたトラウマの恐怖と向き合う旅でもあった。はたして、3つの時代で転生を繰り返すガブリエルとルイの愛は成就するのか。そして過酷な宿命を背負ったガブリエルが、最後に突きあたる衝撃的な真実とは……。