PG12 130分 日本 東京テアトル配給作品 東京テアトル制作作品
自身初の映画化作品が大ヒットを記録した『告白』の原作者、湊かなえ。小説ファンのみならず映画ファンからも注目を集め続ける彼女の集大成と評された「未来」(双葉文庫)がついに映画化。
原作は、『告白』『母性』『白ゆき姫殺人事件』など、次々と映画化作品を生み出してきた湊かなえの同名小説。
人間関係の闇や社会の矛盾を、容赦ない描写と巧みなストーリーテリングで一級のミステリーとして紡いできたその手腕は、本作でも存分に発揮されている。
7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われている今日の日本。
その現実の奥には、ネグレクト、ヤングケアラー、性暴力など、声をあげることすら難しい痛みが潜んでいる。
そうした"見えない声"を掬い上げ、社会の片隅で押し殺されてきた現実を、スリリングで切実な物語として描き上げた集大成的傑作が、満を持してスクリーンに登場する。
監督は、『ラーゲリより愛を込めて』(22)、『護られなかった者たちへ』(21)など、話題作を次々に送り出してきた瀬々敬久。社会の現実と人間の情を深く見つめ続けてきた名匠が、湊かなえが描く"罪と希望の物語"に新たな息を吹き込み、観る者に深い共感と問いを投げかける。湊かなえも、自身の作品が瀬々監督によって映画化されることについて「心から感激しました」とコメントし、「物語に込めた思いがすべて掬い上げられた内容、構成になっており、いち鑑賞者として感動し、泣きました」と最大限の賛辞を贈っている。
過酷な環境に置かれている教え子に手を差し伸べようとする教師・篠宮真唯子(しのみや・まいこ)を演じるのは、黒島結菜。自身も複雑な過去を抱えながら、子どもたちに寄り添おうとする姿を繊細に体現した黒島は、「何度も辛く苦しい気持ちになりました。とてもハードな撮影の中、子どもたちの熱く切実な思いを感じ、私は何ができるんだろうと日々考えていました」と明かす。
「未来のわたし」からの手紙を受け取る少女・佐伯章子(さえき・あきこ)を演じるのは、『渇水』(23)で多数の新人賞にノミネートされた山﨑七海。次々に襲いかかる過酷な現実に呑み込まれそうになりながらも懸命に生きる章子を演じるにあたって、山﨑は「どこかに同じような苦しみを抱えている人がいるのなら、私は章子という役を誰よりも責任をもって演じよう、と心から決意しました」と語る。
そんな章子の両親、佐伯良太(さえき・りょうた)・文乃(あやの)夫妻を、共に『ラーゲリより愛を込めて』に続いて瀬々作品への参加となる松坂桃李と北川景子が演じ、物語の核心に関わる重要な役どころとして確かな存在感を放つ。
さらに、真唯子の恋人・原田勇輝(はらだ・ゆうき)を坂東龍汰、真唯子や章子の人生に大きな影響を与える樋口良太(ひぐち・りょうた)と森本真珠(もりもと・まじゅ)を、それぞれ細田佳央太、近藤華が演じる。
複雑な家庭環境で育ちながらも、教師になる夢を叶えた真唯子。彼女の教え子・章子のもとにある日、一通の手紙が届く。差出人は――「20年後のわたし」。返事を書くことで、父の死や、心を閉ざした母との孤独な日々に耐えていた章子だが、母の恋人からの暴力、いじめ、そして信じがたい事実に追い詰められていく。絶望の果て、禁断の計画を立てる章子。そんな章子を救おうとする真唯子は、社会の理不尽さに押しつぶされそうになりながら、それでも手を差し伸べようとするが――。