西村は、ドームふじ基地へ南極観測隊の料理人としてやってきた。限られた生活の中で、食事は別格の楽しみ。手間ひまかけて作った料理を食べて、みんなの顔がほころぶのを見る瞬間はたまらない。しかし、日本には妻と8歳の娘と生まれたばかりの息子が待っている。これから約1年半、14,000Km彼方の家族を思う日々がはじまる......。8人の男たちだけで過ごす究極の単身赴任。知られざる南極での生活や仕事、離れている家族を思う気持ち、そして思わず腹の虫がなる料理の数々。南極でも、笑ったり怒ったり、涙も出るし、おなかもすく! 極寒、だけどあたたかな楽しい映画が誕生した。
主人公・西村を演じるのは、『クライマーズ・ハイ』『アフタースクール』『ジャージの二人』で08年の映画賞を総ナメにし、いまもっとも注目を集める俳優・堺雅人。十分な料理指導を受けてのぞんだ今作では、周囲も絶賛するほどの料理の腕前を披露。約8キロの増量に挑み、物語の終盤では一転して急激な減量を敢行するなど、文字通り渾身の役作りで"南極の料理人"を演じている。
バラエティー豊かな観測隊員たちに扮するのは、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、そして豊原功補といった一癖も二癖もある最強の個性派俳優たち。真冬の網走でおこなわれたロケでは、本編さながらの共同生活を送り、隊員たちの密接な関係を再現することに成功している。
原作は、実際に南極観測隊員として南極で調理を担当していた西村淳のエッセイ「面白南極料理人」。
監督・脚本は、自主映画やTVドラマの演出での手腕を買われ、今作で商業映画デビューを飾る弱冠31歳の新鋭・沖田修一。日常を淡々と描きながら人間のおかしさや優しさをそこはかとなく映し出す、その卓越した才能が早くも"次代を背負う監督"として期待を集めている。
思わず腹の虫がなるおいしそうな料理の数々を手掛けるのは、『かもめ食堂』『めがね』のフードスタイリスト飯島奈美と、飯島とともにCMや映画を掛けてきた榑谷孝子。伊勢えびや和牛、フォアグラを使った豪華な料理から、おにぎりやラーメンといったごく身近な料理まで、目にも、実際に食べてもおいしい逸品をこしらえて、食卓とスクリーンをにぎやかに彩っている。
そして、ユニコーンのキーボーディストであり、プロデューサーとしても活躍する阿部義晴が映画音楽に初挑戦。主題歌となるユニコーンの『サラウンド』が、果てしなく拡がる歌声で、エンドロールをあたたかく包み込んでいる。