アマチュアからプロへ!史上初の偉業を成し遂げた男の《実話》
26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。
小学生のころから将棋一筋で生きてきた"しょったん"こと瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかりあっけなく断たれた。
奨励会退会後、将棋とはしばらく縁を切り平凡な生活を送っていたしょったんに突然訪れた父親の死...。親友・悠野ら周囲の人々に支えられ様々な困難を乗り越え、再び駒を手に取ることに。しかし、プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。
「やっぱり、プロになりたい――」
35歳、しょったんの人生をかけた二度目の挑戦が始まる。
9歳から17歳まで奨励会に在籍していた豊田利晃が、『青い春』以来 16年ぶりに松田龍平を単独主演に迎え、監督生活20年の節目の年に 挑んだ本作は、瀬川晶司五段による自伝的作品。“将棋の映画”を撮る に当たり、撮影前から瀬川五段の協力を仰ぎ入念な将棋指導を施して 臨んだ対局シーンをはじめ、自身も身を置いていた世界を描くからこそ の徹底した演出で迫力ある盤上の戦いをスクリーンにおさめた。 大きな挫折の苦悩と絶望からの再起を図るしょったんを演じた松田龍 平は、奇しくも今年、そのしょったんがプロ編入の偉業を成し遂げた時 の年齢と同じ“35歳”に達し、「自分が本当にやりたいことに対して、どれだけ魂を注いでいるのかという晶司の気持ちに投影する部分が多か った」と話し、しょったんの心の機微と変遷を丁寧に表現、主演として 引っ張っていくことに対しても並々ならぬ覚悟で挑んだ。しょったんの親 友かつライバル役には、松田とは公私ともに仲のいい野田洋次郎。松 田と野田だからこそ出せる空気感で、物語をよりリアルなものにしてい る。さらに、幼少のころからしょったんを支える家族、将棋道場の席主、 奨励会の仲間や好敵手たちに日本映画を牽引する豪華なキャストをは じめ多数のプロ棋士が集結し、一人の男の「夢」への再挑戦を軸とした 熱い人間ドラマが誕生した!
関東と関西にある日本将棋連盟のプロ棋士養成機関。 四段以上のプロ棋士から推薦を得たうえで、奨励会試験 に豪快すると入会できる。ただ、奨励会は並大抵の才能 では入会も難しいとされている。 会は六級から三段まで 160人〜170人の会員で構成されており、三段まで昇段 すると、年に2回行われる「三段リーグ」戦で、上位二名 に入ると四段に昇段でき、プロ棋士となる。
ただし、満21歳の誕生日までに初段、そして満26歳の 誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合 は退会という鉄の掟が存在する。 しかし、2005年、瀬川晶司のプロ編入試験が特例で実施 され、史上初の奨励会員退会からプロ編入という道が 開けた。その後、翌2006年より日本将棋連盟は奨励会を 経なくとも実力ある者がプロ棋士になれるプロ編入試験 の規定を設けた。
生まれてから小学5年生までの10年間、何かに熱を入れ ることもなく日々を過ごしていた“しょったん”こと瀬川晶司。
中学生でプロ棋士になった谷川浩司棋士のニュースを見て、 初めて“プロ棋士”という職業を知る。
時を同じくして、隣家に住む鈴木悠野も将棋が好きなことを知り、二人で将棋 を指すようになる。
やがてしょったんの父・敏雄の勧めで将棋道場へ通うことに。
週末ごとにめきめきと上達していったしょったんは、 中学3年生で奨励会の試験を受け合格した。
奨励会には年齢制限という鉄の掟がある。26 歳の誕生日 までに四段になれなければ退会となってしまう。
22歳の夏に三段に昇段したしょったんだったが、残された チャンスも徐々に減っていく…。
様々な理由で先に奨励会を退会していくライバルたちを見 て、将棋を指す意味を自問自答するしょったん。現実から目 を背けるように棋士仲間たちと遊びまわっているうちに、悠 野がアマ名人になったことを知る。
そして、最後の三段リーグでそのチャンスはあっけなく潰え てしまう――。
奨励会退会後、大学を卒業し会社員となったしょったんは、将棋盤に向かうこともなくなり、平凡な生活を送っていた。そんなある日、しょったんの夢をずっと応援してくれていた父・敏雄が事故に遭い突然他界してしまう。傷心の中、居場所を求めるように訪れた悠野の家でふとしたきっかけから久しぶりに将棋を指すことに。その対局でしょったんは改めて将棋の面白さに気づく。
将棋を再開したしょったんは、アマチュアの大会でめきめきと頭角を現し、ついにアマ名人に。その活躍を目の当たりにしたアマチュア強豪の藤田と新聞記者の新條は、しょったんにプロ編入試験の話を持ちかけた。
しょったんの人生を賭けた<夢>への再挑戦が、今、始まる――。