原作は数々の名コラムを世に送り出してきたエッセイスト高山真の自伝的小説「エゴイスト」。監督は、『トイレのピエタ』『ハナレイ・ベイ』『Pure Japanese』などを手掛けた松永大司。トランスジェンダーである友人を撮影したドキュメンタリー『ピュ〜ぴる』から約10年。本作『エゴイスト』脚本執筆の際には入念なリサーチを行い、主人公・浩輔のライフスタイルの細部までリアルに描写。登場人物たちの心情に寄り添うドキュメンタリータッチでリアリティあふれる映像が、親密な時間の温度感や、愛するがゆえに生まれる葛藤を繊細に伝えている。
主人公の浩輔を演じるのは『孤狼の血 LEVEL2』の怪演で第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ多くの賞を受賞し、今最も説得力があり、勢いに乗っている俳優・鈴木亮平。役柄に合わせて身体をコントロールするストイックさと深い洞察力、そして緻密な役作りで数々のキャラクターに命を吹き込んできた名優が、強さと脆さを同居させた生々しい演技力で観る者を引き込み、新たな境地を開拓した。
龍太役には『騙し絵の牙』、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」など話題作への出演が続く宮沢氷魚。透明感あふれる儚いたたずまいが、愛を注がれる純粋な青年、龍太のキャラクターに説得力を与えている。
14 歳で母を失い、田舎町でゲイである自分の姿を押し殺しながら思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし 2 人でドライブに出かける約束をしていたある日、何故か龍太は姿を現さなかった。