『悪人』『怒り』など人間の複雑な感情とその裏に隠された本質を鋭く炙り出してきた吉田修一の同名小説を、『おじいちゃん、死んじゃったって。』『さんかく窓の外側は夜』の森ガキ侑大監督が映画化。主演は唯一無二の存在感とユニークで高い演技力を持つ江口のりこ。共演には小泉孝太郎、馬場ふみか、風吹ジュンら個性豊かな俳優陣が名を連ね、江口扮する主人公を追い詰めていく。物語に隠されたある仕掛けから、映像化は難しいと思われた原作小説を繊細にアレンジ、フィルムを使って主人公の背後からまとわり付くようなカメラワークで撮影を敢行、息もつかせぬ緊迫感に包まれた見事なヒューマンサスペンスが誕生した。
夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子は、結婚して8年になる。義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ献立などいわゆる「丁寧な暮らし」に勤しみ毎日を充実させていた。
そんな桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火、愛猫の失踪、不気味な不倫アカウント…。平穏だったはずの日常は少しずつ乱れ始め、やがて追い詰められた桃子は、いつしか床下への異常な執着を募らせていく・・・。