【ルイス・ブニュエル特集上映 デジタルリマスター版 男と女】
一見したところ、互いに関係のない、しかもそれぞれ完結することのない挿話の数々が、さまざまな偶然を介してごく緩やかに連結されてゆく、超現実的な遊戯を思わせる独自の語り口を採用した、過激な「反物語映画」。それまでのブニュエル映画が部分的に実践してきたこと、つまり映画自体を「夢」に近づけることが、『黄金時代』以来久しぶりに作品全体に拡大されたかのような趣が備わっているのが本作である。描かれるできごとの多くは、エロティックで倒錯臭の強い、典型的ブニュエル世界。奇怪な夢を見た後、人はその夢になんらかの意味を見いだそうと必死になるが、それは無駄な努力に終わる!