上映作品

欲望のあいまいな対象

ブニュエルの死後にますますその評価を高めた、とことん人を喰った遺作。

【ルイス・ブニュエル特集上映 デジタルリマスター版 男と女】

二人の女優(フランス人キャロル・ブーケと、スペイン人アンヘラ・モリーナ)に同一人物(ヒロインのコンチータ役)を演じさせた珍奇な試みで名高いブニュエルの遺作。フランス人作家ピエール・ルイスの小説『女と人形』を自由に翻案した本作は、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』のブルジョワたちが食事のお預けを食らい続けたように、愛する女コンチータの肉体のお預けを食らい続ける中年男の物語を綴ってゆく。優雅で控えめで痩せ型のブーケと、陽気で情熱的で肉感的なモリーナが同一人物を演じ分けることで、コンチータという女に備わったあいまいさや二面性が明確に打ち出されることになった。

監督
:ルイス・ブニュエル
脚本
:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
原作
:ピエール・ルイス
出演
:フェルナンド・レイ、キャロル・ブーケ、アンヘラ・モリーナ、ジュリアン・ベルト―、アンドレ・ウェバー