北の離島の美しい港町。登美子の夫が突然姿を消してから30年の時が経った。彼はなぜいなくなったのか。生きているのかどうか、それすらわからない。漁師の春男が登美子に想いを寄せ続けるも、彼女がそれに応えることはない。そんな登美子のもとに、2年前に失踪した夫を探す奈美が現れる。ある日、登美子は街中で偶然、失踪した奈美の夫・洋司を見かけて...。
ある日突然、最愛の人がいなくなる。残された者は幾度も「なぜ」を問い、幾夜も悲しみに沈む夜を過ごす。それでも「待つ女」のもとに現れる、もうひとりの「待つ女」。そして、「戻ってきた男」――。それぞれの人生が交差し、登美子の日常は静かに、確実に波打っていく...。人はどれだけ愛した人のことを解っているのか。教義だけでは説明しきれない複雑な人間の感情と本質を鋭く炙りだし、観る者の心を様々に揺さぶる人間ドラマの新たなる傑作が誕生した。