ローマとシチリアの島々そして病院を巡る映画監督の親密でおかしくてちょっと辛辣な3章からなる物語。長編第1作『自立人間』(日本未公開)以来、モレッティの分身ともいえる"ミケーレ"を常に主人公としてきたが、本作では初めて自分自身として登場。第3章で描かれるように、一時は死をも覚悟するという過酷な体験をしたモレッティの、突き抜けたユーモアと自由で躍動感あふれる映画作りが見る者を幸福にする。音楽は『ライフ・イズ・ビューティフル』『息子の部屋』等を手掛けたニコラ・ピオヴァーニ。アンジェリック・キジョの「バトンガ」、レナード・コーエンの「アイム・ユア・マン」などをフィーチャー。第1章の最後、パオロ・パゾリーニが殺されたオスティア海岸を訪ねるシーンに流れるキース・ジャレットの名演「ザ・ケルン・コンサート」が心を震わせる。