「喰らうは生きる。食べるは愛する。いっしょのご飯がいちばんうまい」稀代のスター・沢田研二、主演。実力派・松たか子、共演。料理研究家・土井善晴が初めて映画の料理に挑む。四季折々の食で綴る人生ドラマ。1978年に水上勉が記した料理エッセイから、中江裕司監督が物語を紡ぎだした本作は、人々がいつしか忘れてしまった土の匂いのする生活を思い起こさせ、人としての豊かな生き方を教えてくれる。沢田研二は、物語を凌駕する圧倒的な存在感を見せる。観客は沢田演じるツトムと十二ヵ月を体験したことに気づくだろう。
作家のツトム(沢田研二)は人里離れた長野の山荘で一人、暮らしている。山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら、原稿をしたためている。時折、担当編集者で恋人の真知子(松たか子)が、東京から訪ねてくる。食いしん坊の真知子とふたり、旬のものを料理して一緒に食べるのは楽しく、格別な時間。歳の離れた恋人がいて、悠々自適な暮らしをするツトムだが、13年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいる...。