ハンガリーの至宝/メーサーロシュ・マールタ監督
女性たちのささやかな革命
ハンガリーが誇る映画監督の一人であり
女性として初めてベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた
メーサーロシュ・マールタ。
その後も、カンヌ国際映画祭での受賞歴をはじめ
国際的な評価を得ながらも
彼女の作品はいずれも日本では劇場未公開。
女性の主体性を脅かす社会の相貌にカメラを向けてきたメーサーロシュ。
その誠実なまなざしが、時代を超え、今ここに。
【鑑賞料金】
通常料金
(TCGカード会員:1,300円/一般:1,900円/大学・専門学生:1,500円/シニア:1,200円/高校生・中学生・小学生以下:1,000円/HC割引:1,000円)
※各種割引適用可
※特別興行の為、株主ご優待券使用不可。株主提示割引使用可
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:ズィムレ・ペーテル 脚本監修:ビロー・イヴェット 撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
出演アーティスト:Metro、Illés、Kex、Sziriusz、Tolcsvay Trió ほか
出演:ヤロスラヴァ・シャレロヴァー、ザラ・マールク、バラージョヴィチ・ラヨシュ
1970 年/ハンガリー/ヨーロピアン・ビスタ/モノクロ/89 分/2K レストア
字幕:高橋文子 字幕監修:コロンツァイ・バーバラ
ビート・ミュージックのファンである若者たちは、うだつの上がらない日々を工
場での労働に費やしている。ユリは不良青年のうちのひとりと婚約しているの
だが、とあるミュージシャンと恋に落ちた。ギグを開くという彼とともに、ユリは
小旅行へ出かける。しかし嫉妬深い婚約者と彼の不良仲間たちは執拗にふ
たりを追いかけ……。
溢れんばかりのビート・ミュージックとともに、当時の息詰まるような社会の閉
塞性がたしかに刻印された、珠玉の音楽逃避行劇。
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:メーサーロシュ・マールタ、ヘルナーディ・ジュラ、グルンワルスキ・フェレンツ
脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ 撮影監督:コルタイ・ラヨシュ
出演:べレク・カティ、ヴィーグ・ジェンジェヴェール、フリード・ペーテル、サボー・ラースロー
1975 年/ハンガリー/ビスタ/モノクロ/88 分/4K レストア
字幕:高橋文子 字幕監修:ナジ・アニタ PG12
43 歳のカタは工場勤務の未亡人。彼女は既婚者と不倫関係にある。カタは
子どもが欲しいのだが、愛人は一向に聞き入れない。とある日カタは、寄宿
学校で生活するアンナと出会い、彼女の面倒を見ることにした。次第にふたり
は奇妙な友情を育んでいく。
メーサーロシュの名を一躍世界に知らしめた記念すべき作品。家父長制すら
歯牙にもかけぬ主人公たちの親密さを、決して見逃してはならない。
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:ヘルナーディ・ジュラ、コーローディ・イルディコー 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
出演:モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ
1976 年/ハンガリー/スタンダード/カラー/94 分/4K レストア
字幕:高橋文子 字幕監修:コロンツァイ・バーバラ R15+
ユリは工場勤務の傍ら、農学を学んでいる。工場の上司は彼女と恋に落ちる。
ユリは彼に誠実な関係を望むいっぽう、前パートナーとの間に子どもがいる事
実を隠している。やがて彼女の秘密は明らかになるのだが、上司は子どもの
存在を受け入れるだけの心の準備ができておらず……。
ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせたメーサーロシュが、作為性
や修飾を極限にまで削ぎ落した「真実」の記録。
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:コーローディ・イルディコー、バラージュ・ヨージェフ 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
撮影監督:ケンデ・ヤーノシュ
出演:マリナ・ヴラディ、モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ
1977 年/ハンガリー/スタンダード/カラー/98 分/4K レストア
字幕:森彩子 字幕監修:ナジ・アニタ
マリの夫は偏狭な男で、ユリの夫はアルコールに依存している。彼女たちはつ
らい夫婦生活を乗り越え、慰めを求めあう。互いの葛藤を知ったふたりは、そ
れぞれの人生を歩むべく、ある決断をする。
結婚生活に絡めとられる二人の女性の連帯を、厳しくも誠実なまなざしで捉
えた精緻な秀作。
監督:メーサーロシュ・マールタ
脚本:コーローディ・イルディコー、メーサーロシュ・マールタ 脚本監修:ヴァーシャールヘイ・ミクローシュ
撮影監督:ラガーイ・エレメール
出演:イザベル・ユペール、モノリ・リリ、ヤン・ノヴィツキ、ペルツェル・ズィタ、サボー・シャーンドル
1980 年/ハンガリー、フランス/16:9/カラー/105 分/4K レストア
字幕:森彩子 字幕監修:コロンツァイ・バーバラ
1936 年。ユダヤ人のイレーンは、裕福な友人・スィルヴィアからある相談を
持ち掛けられる。スィルヴィアは不妊に悩んでおり、イレーンに自身の夫との
間で子どもをつくってほしいと言う。そうして生まれた子どもに莫大な財産の
相続が約束されたのだが、彼らの関係は悪化の一途をたどる。その頃世界
ではファシズムが台頭し……。
幅広い文化圏の映画監督と協業を続けるイザベル・ユペールは、その最初
期の重要な出演作として本作を挙げている。この後メーサーロシュは「日記」四部作に代表される歴史映画を手掛
けていくが、その契機としても見落とすことができない意欲作。