上映作品

若松孝二 十三回忌イベント

今年は若松孝二監督の十三回忌
毎年恒例命日上映会がパワーアップ!
連日ゲストを招いて一週間日替わり上映!

「俺が死んでも映画は残る。映画に時効はない」
が口癖だった若松孝二監督、今年もテアトル新宿に会いにきてください!

【上映期間】10月11日(金)~17日(木)
【上映作品】
『キャタピラー』
『17歳の風景 少年は何を見たのか』
『止められるか、俺たちを』
『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』
『いきもののきろく』『燃えろ青春の一年』
『性賊 セックスジャック』
(2006年~2011年)若松孝二監督作品メイキング上映


「俺が死んでも映画は残る。映画に時効はない」
が⼝癖だった若松孝⼆監督、
今年もテアトル新宿に会いにきてください!

「俺が死んでも映画は残る。映画に時効はない」
若松孝二のこの言葉を実践するかのごとく、今年の上映作品は多岐にわたる。
1970年の『性賊 セックスジャック』から2004年の『17歳の風景 少年は何を見たのか』、2010年の『キャタピラー』(ベルリン国際映画祭で寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞)までの若松作品に加え、若松プロに集った若者たちの青春群像劇『止められるか、俺たちを』(白石和彌監督)と『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(井上淳一監督)、さらには『青春ジャック』に劇中映画として登場した『燃えろ青春の一年』、『青春ジャック』コンビの井上淳一監督と木全純治シネマスコーレ代表が監督とプロデューサーとしてタッグを組んだ『いきもののきろく』(原案・主演・永瀬正敏/主題歌・PANTA)の東京初上映など、例年の命日上映会を超えた広がりをみせる。

また、上映後のアフタートークに登壇するゲストも多彩だ。
『17歳の風景』には大河ドラマ『光る君へ』で話題の柄本佑が、大阪・シアターセブンの『青春ジャック』の上映後には泉房穂(元明石市長)が登壇し、映画を、青春を縦横無尽に語り尽くす。
さらには、紛争予防・平和構築の研究者である伊勢崎賢治が『キャタピラー』をテキストに「国家と個人と戦争」を語り、『燃えろ青春の一年』の主演で80年代に「小劇場の聖子ちゃん」と呼ばれた美加理と『青春ジャック』でその美加理を演じた向里祐香がW登壇、他にも『止められるか、俺たちを』のタモト清嵐、『いきもののきろく』のミズモトカナコや、若松プロを支えた足立正生、ガイラ、白石和彌、大日方教史、辻智彦(撮影)の登壇、『青春ジャック』の宮田岳と中野ミホのミニライブが決定している。司会は連日、井上淳一がつとめる。

※追加のイベントは決定次第、劇場HP・劇場公式Xでお知らせしてまいります。

【コメント】

尾崎宗子(若松プロダクション代表)

父である若松孝二の口から、生前、「俺が死んでも映画は残る。映画に時効はない」と聞いた時、私は半信半疑でした。それが、12年前、突然父がいなくなり、若松プロを継ぐことになり、最初は一年だけと思って始めた命日上映会が二年になり、三年になり、五年になり、十年になって、はじめてその言葉が本当だったと実感しました。毎年毎年、父が残した作品を観て、父の思い出を共有してくださるお客さんたち。映画に時効はありませんでした。ありがたいことに、今年はテアトル新宿さん、シネマイクスピアリさん、シアターセブンさんで一週間の命日上映会を組んでいただき、また、シネマスコーレでは命日に旧作が上映されます。若松孝二の映画が今年もひとりでも多くの方に届くことを願っています。しかし、若松孝二に頼ってばかりもいられません。閉塞感で破裂しそうになっているこの世界に向けて、作品を生み出す磁場としての若松プロであり続けたいと願っています。

井上淳一(脚本家・映画監督)

僕が若松プロにいたのは19歳から25歳までの5年半に過ぎません。正直言えば、ここにこのままいても先はないと考え、離れることを決意しました。それでも僕は、若松プロ出身と口にする時、どこか誇らしげだったと思います。それは若松プロを通り過ぎた先輩後輩も同じだったのではないでしょうか。足立正生さんもガイラさんも髙間賢治さんも荒井晴彦さんも、みんな。その秘密に少しでも迫れたらと、二本の脚本を書き、その内一本は監督しましたが、やはり分かりません。今回の命日上映週間でその謎を解き明かせたら、というのはあまりにも宣伝惹句すぎるでしょうか。でも、そういう一週間になればいいと思っています。

最後に自分の監督作品の宣伝をさせてください。『青春ジャック』をご覧になった方はわかると思いますが、『燃えろ青春の一年』は劇中で出てきた河合塾の映画です。まさか河合塾の入塾式で上映するためだけの映画がテアトル新宿のスクリーンで観られるなんて、僕自身が感無量です。同時上映の『いきもののきろく』は木全純治シネマスコーレ代表の初プロデュース作品で東京初上映になります。この映画を作り、シネマスコーレで上映した10年前は47分の短篇を単独で劇場公開するすべがありませんでした。公開方法を探る内に無駄に時間が過ぎました。しかし、先日、『箱男』を観て、この時間は無駄ではなかったと確信しました。『いきもののきろく』は永瀬正敏さんの原案です。『箱男』を観て、気づきました。これは『箱男』を作れなかった時期の、永瀬さんの『箱男』ではなかったのか、と。その映画を『箱男』と前後して上映できるのは、映画の神様のなせる業ではないでしょうか。また、この映画の主題歌は、昨年亡くなったPANTAさんです。この映画には多くの追悼が詰まっています。是非、ご覧ください。

【入場料金】
2,000円均一

※特別興行のため、各種割引・ご鑑賞券・ご招待券はご利用いただけません。

【上映スケジュール】
10月11日(金)~17日(木)

■10月11日(金)17時50分
『キャタピラー』
ゲスト:伊勢崎賢治(紛争予防・平和構築の研究者)、井上淳一 司会:大友麻子(編集者)

■10月12日(土)17時50分
『17歳の風景 少年は何を見たのか』
ゲスト:柄本佑、白石和彌 司会:井上淳一

■10月13日(日)17時50分
『止められるか、俺たちを』
ゲスト:タモト清嵐、白石和彌、井上淳一、井浦新(追加) ほか

■10月14日(祝・月)17時50分
『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』
ゲスト:井上淳一、宮田岳ほか

■10月15日(火)17時50分
『いきもののきろく』『燃えろ青春の一年』
ゲスト:井上淳一、美加理、向里祐香、ミズモトカナコ、木全純治(追加)

■10月16日(水)17時50分
『性賊 セックスジャック』
ゲスト:足立正生、小水一男、大日方教史ほか 司会:井上淳一

■10月17日(木)21時00分
『若松孝二作品』メイキング
ゲスト:大西信満・辻智彦・井浦新(追加)・タモト清嵐(追加)ほか 司会:井上淳一

※追加ゲストは決定次第の発表を予定しております。
※登壇者は予告なく変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。

【上映作品詳細】
10月11日(金)17時50分『キャタピラー』

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トーク:国家と個⼈と戦争紛争の時代を⽣きる私たち
ゲスト:伊勢崎賢治、井上淳一(脚本・監督)、司会:大友麻子(編集者)

伊勢崎賢治さんプロフィール:東京外国語大学名誉教授(紛争予防・平和構築)、ジャズトランペッター。これまでシエラレオネやアフガニスタンなどの紛争地域で武装解除を指揮してきた。

「平和の為の戦争などはない。戦争は人殺しである。」
命ときちんと向き合わなくなり、世界が同じ過ちを繰り返していると感じた若松孝二は本作の製作を決断した。
戦争の悲劇は戦場だけではない、戦傷を負った夫とそれを介護する銃後の妻を通して戦争の愚かさを描く。シゲ子を演じた寺島しのぶは、本作の入魂の演技でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した。

2010年/87分/製作:若松プロダクション
監督:若松孝二/脚本:黒沢久子、出口出/出演:寺島しのぶ、大西信満

10月12日(土)17時50分『17歳の風景 少年は何を見たのか』

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トーク:20年前も今も、若者は⾵景の果てを⽬指す
ゲスト(敬称略):柄本佑(俳優)、白石和彌(監督)、司会:井上淳一(脚本・監督)

母親を殺害した少年は、おのれの過ちから身を引き剥がすようにして、ひたすら自転車で北へと向かった。独自のモチーフと手法が際立つ作品として、あまたある若松監督作品の中でも今なお異彩を放ち続ける一本。若松孝二監督が、2000年に岡山県で起きた17歳の少年による母殺しの事件にインスパイアされ撮り上げた異色ドラマ。撮影当時17歳だった柄本佑が熱演している。

2005年/90分/製作:シマフィルム
監督:若松孝二/プロデューサー:志摩敏樹/ラインプロデューサー:大日方教史/助監督:白石和彌/音楽:友川カズキ/出演:柄本佑

10月13日(日)17時50分『止められるか、俺たちを』

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トーク:若松プロダクションという磁場
ゲスト:タモト清嵐(俳優)、白石和彌(監督)、井上淳一(脚本・監督)、井浦新(俳優 10/12追加) ほか

時代の先端を駆け抜けろ! これが映画だ! ! これが若松プロダクションだ! !
若松プロダクション出身で、今や日本映画界を代表する監督・ 白石和彌が自ら企画した本作。1969年から71年にかけての若松プロダクションを助監督・吉積めぐみの目を通して描いた青春群像劇となっている。

2018年/119分/製作:若松プロダクション/ハイクロスシネマトグラフィ
配給:若松プロダクション、スコーレ
監督:白石和彌/脚本:井上淳一/出演: 門脇麦 井浦新

10月14日(月・祝)17時50分『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』

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トーク:青春してますか? ミニライブ:宮田岳さんによるミニライブ開催
ゲスト:井上淳一(脚本・監督)、宮田岳(音楽)ほか

ただで起きないために転べ。
『⽌められるか、俺たちを』から10年後。1980年代。若松孝⼆はミニシアターを作る。その名はシネマスコーレ。⽀配⼈に抜擢されたのは、⽊全純治だった。⽊全は若松に振り回されながらも、持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。
そこに吸い寄せられる若者たち。⽥舎の映画⻘年だった井上淳⼀もまた映画監督に
なりたい⼀⼼で若松プロの⾨を叩く。⼰れの才能のなさを嫌でも⾃覚させられる⽇々。それでも、映画を諦め切れない。
今がダメでも次がある。涙だけじゃない。そこには笑いがある。絶望だけじゃない。希望がある。この映画は僕の、私の物語であると同時に、あなたの物語でもある。これはあなたの⻘春の物語だ。

2024年/119分/製作:若松プロダクション/シネマスコーレ
配給:若松プロダクション、スコーレ
脚本・監督:井上淳一/出演:井浦新 東出昌大 杉田雷麟 芋生悠

10月15日(火)17時50分『いきもののきろく』『燃えろ青春の一年』

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トーク:〈特別企画〉名古屋でジャック
ゲスト:井上淳一(脚本・監督)、美加理、向里祐香、ミズモトカナコ、木全純治(追加)

『いきもののきろく』
人っ子一人いない廃墟のような街で男は運河に流れ着いたゴミを拾い集める。そこに現れる女。男の日常に微かにひびが入り始める。『青春ジャック』の木全純治と井上淳一が永瀬正敏の原案を得て、名古屋で撮った世紀末叙事詩。再編集を経て、東京初公開。
2014年/47分/原案:永瀬正敏/主題歌:PANTA/プロデューサー:木全純治/脚本・監督:井上淳一/出演:永瀬正敏 ミズモトカナコ

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『燃えろ青春の一年』
予備校ブームに沸いた1980年代半ば、河合塾の入塾式のために撮られた短編映画。ひとりの女生徒を通して、河合塾での一年を描く。が、そこは若松プロ。一筋縄ではいかない驚愕の物語が展開させる。よくこんなものを河合塾が作らせたと当時から言われていた。竹中直人、赤塚不二夫ら豪華ゲストが花を添える。『青春ジャック』の劇中で登場するあの映画。
1986年/30分/プロデューサー:若松孝二/脚本・監督:井上淳一/出演:美加理 竹中直人 赤塚不二夫

10月16日(水)17時50分『性賊 セックスジャック』

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トーク:スタッフから見た若松孝二
ゲスト:足立正生(監督・脚本)、小水一男(監督・脚本)、大日方教史(プロデューサー)ほか 司会:井上淳一(監督・脚本)

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』のタイトルの元にもなった若松孝二監督の傑作のひとつ。「よど号」事件の7年後を舞台に、第2のハイジャックに向けて潜伏する活動家と、憎悪を抱えながら生きるアナーキーな下層労働者のテロリズムが対比的に描かれる。

1970年/70分/製作:若松プロダクション
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/出演:秋山未知汚(道男)

10月17日(木)21時00分『(2006年~2011年)若松孝二監督作品メイキング上映』(60分)

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トーク:役者から見た若松孝二
ゲスト:大西信満(俳優)、辻智彦(撮影)、井浦新(追加)、タモト清嵐(追加)ほか 司会:井上淳一(脚本・監督)

2000年代に入り、若松孝二監督は70歳を超えてなお、映画作りをよりシンプルな形へと進化させた。自らの資金で、作りたい映画を製作し、自らが宣伝し、映画館へ、そして観客へと直接届けるという独自のプロセスを確立したのである。
こうして生み出された作品、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』や『キャタピラー』、『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』、『海燕ホテル・ブルー』、『千年の愉楽』などは、ベルリン国際映画祭をはじめとする様々な映画祭を席巻していった。
遺作となった『千年の愉楽』に至るまでの撮影風景や、井浦新、大西信満、寺島しのぶ、高良健吾、染谷将太といった俳優たちの姿を通して、若松孝二という映画監督の本質に迫っていく。