■ヒューマントラストシネマ有楽町での開催期間
11/23(土祝)~12/1(日)
■料金
前売券 (11/2(土) PM 12:00~11/22(金) 19:00まで):一般¥1,500-/U-25割¥1,100-
会期中券(11/23(土)AM 10:00~):一般¥2,000-/U-25割¥1,500-
※平成11年1月1日以降生まれの方を対象としたU-25割チケットがございます。当日会場にて年齢確認をさせていただく場合がありますので、年齢を証明できるものをお持ちください。
※障がい者手帳をお持ちの方はU-25割が適用されます。(付き添い1名様まで同料金でご購入いただけます。ご入場の際に、障がい者手帳をチケットと一緒にご提示ください。)
※チケットの払戻、交換、再発行はいたしません。また、当日にチケットをお持ちでない方は入場できません。チケット・最新情報詳細は映画祭公式サイトにてご確認ください。
※入場はチケットのQRコードでの入場です。オンライン購入の場合は、購入完了メールよりQRコードを開いて提示ください。
※一度完売した上映回であっても、状況により追加販売を行う可能性がございます。
※特別興行のため、TCGメンバーズカード、各種割引およびご招待券などはご利用頂けません。
※株主優待のご招待券、提示割引ともにご利用いただけません。
※東京都では18歳未満の方は23時を過ぎる上映回には保護者同伴であってもご入場頂けません。
■販売期間
・前売券販売
オンライン:11/2(土) PM 12:00~11/22(金) 19:00まで
※劇場窓口での販売も劇場オープン時間(※11/2(土) PM 12:00~11/22(金) 19:00まで)からとなります。連日、最終回上映開始と同時に窓口販売は終了となります。ご注意ください。
※11/22(金)の東京フィルメックス上映作品の窓口販売は19:00をもって終了とさせていただきます。
※購入後の変更・キャンセルはいたしかねます。
★前売券販売終了(11/22 19時)~会期中券販売開始(11/23 10時)の間は、ホームページ上には表示がされませんのでご了承ください。
会期中券販売開始のタイミングで再表示されます。(数分タイムラグが発生する場合がございます。何卒ご了承ください。)
・会期中券販売
オンライン:11/23(土)AM 10:00 ~各作品上映開始時刻の20分前まで
※劇場窓口での販売も11/23(土)AM 10:00 ~各作品上映開始時刻までとなります。お時間を過ぎての販売は行えませんのでご注意ください。
※窓口販売は連日 最終回上映開始と同時に窓口販売は終了となります。ご注意ください。
※お立見販売はございません。また、キャンセルチケットもございませんので、何卒ご了承ください。(購入後の変更・キャンセルはいたしかねます)
この映画は3部に分かれている。第1部では、マドリードで8歳の息子と2人きりで暮らすロシア人の母親に私たちは出会う。続く第2部では、一人の日本人男性がバスク人の若い女性と知り合う。2人は共に時間を過ごし、彼女は彼を友人たちに紹介する。そして第3部では、舞台は日本に移され、若い男性がお盆の時期に実家に帰省し、亡くなった祖父の霊を迎えるための準備を祖母と共に進めていく…。本作は、そのタイトルが示す通り、ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』の形式的なアイデアを取り入れた作品で、更には『ユリシーズ』が大きく依拠しているホメロスの『オデュッセイア』を大まかに翻案したものだという。ただ、無論ここではギリシャの英雄の困難な帰郷の旅がそのまま語られているわけではない。むしろここでは「家」や「帰属」といった概念を巡って各々の物語が展開されており、世界の様々な場所での日常生活の断片が曖昧さを残したまま控えめな筆致で描かれている。本作はマルセイユ国際映画祭で初上映され、続いてサン・セバスチャン映画祭でも上映された。
監督:宇和川輝( UWAGAWA Hikaru )/日本、スペイン / 2024 / 73分
■上映日■
11月23日(土)16:10 -
ベトとナムは20代の炭鉱労働者の青年。彼らは粉塵まみれの画一的な職業生活を送りながら、地下何百メートルの暗闇の中で密かな愛を育んでいる。彼らは共に戦争で父を亡くしており、ナムと彼の母は父のベトコン時代の古い同志バと共に、まだ半分埋まった兵器が点在する森に覆われた中央高原へ父の遺骨を探す旅に出る。ベトは彼らに同行しつつ、ベトナムから密航し国外へ脱出することを計画しているナムの身を案じている……。20年に及ぶ戦争による深い傷がまだ色濃く残る2001年のベトナムを舞台に、恋人同士である二人の炭鉱労働者の姿を通して、戦後のベトナムにおいて、若くそしてクィアであること、そして更にはベトナムという国そのものが抱える困難と苦悩を描く。催眠術のように優しく官能的に撮影された美しい作品でありつつも、その表層の下に眠る深く暗い影の部分を炙り出そうとする象徴性に満ちた作品。長編2作目『樹上の家』(19)で注目を集めた新鋭チューン・ミン・クイの3作目の長編である本作は、カンヌ映画祭のある視点部門で初上映された。
監督:チューン・ミン・クイ( TRUONG Minh Quý )/ベトナム、フィルピン、シンガポール、フランス、オランダ、イタリア、ドイツ、アメリカ / 2024 / 129分
■上映日■
11月23日(土)21:00 -
物語は2組のカップルを中心に展開する。一人の青年は写真家の恋人を自殺で亡くしてしまうが、彼女との生前と死後のエピソードが、時間軸をずらす形で物語に織り込まれていく。もう一つの中心になるのがペット関係の店で働く女性と日本料理店で働く男性の関係を描いた物語で、料理中の魚の内臓の中に指輪を偶然見つけたことをきっかけに二人は結婚を計画するが、ハネムーンの直前に彼らの関係は破局を迎える……。本作はチェン・スーチェン、グァン・フー、ニン・ハオといった名だたる監督たちの下で20本以上の映画を撮影してきたベテラン撮影監督のドゥ・ジエの長編監督デビュー作で、脚本、撮影、編集、美術もドゥ自身が担っている。20年初頭にコロナ禍が始まった際に日本で家族と休暇を過ごしていたドゥはそのまま短編シナリオ小説を日本で書き始め、そのうちの一つを映画化したのが本作だという。東京で大部分が撮影されたチェン・スーチェン監督作『唐人街探偵 東京MISSION』(2021)の主要な制作スタッフの多くが今作にも関わっている。釜山映画祭のニューカレンツ部門で初上映された。
監督:ドゥ・ジエ(DU Jie)/ 日本 / 2024 / 100分
■上映日■
11月24日(日)16:10 -
40代の主婦、ツァイは人生の目的を失い、大きな精神的崩壊の瀬戸際にいる。映画の冒頭で、彼女は不運な形で年配の女性に怪我を負わせてしまい、入院したその女性の家族から賠償を求められる。この出来事を導入として、私たちは彼女の置かれている状況を目にしていく。夫とは離婚手続き中で、反抗期の娘との間にも深い溝がある。同居中の義母はどうやら認知症を患っており、疎遠になって久しい実父は死期が近いようだ。彼女は、自分の上にのしかかる重荷や憂鬱から逃れようともがいている。この作品は、こうしたツァイの「中年の危機」的状況、ひいては中国の中流階級家庭の機能不全を、4:3の息苦しいフレーミングと撮影監督のコンスタンツェ・シュミットによる美しく憂鬱なイメージによって極めて効果的に語る。映画初出演だという主演のユウ・アイアルの抑えた演技も素晴らしい。カンヌ映画祭の短編部門でパルムドールを受賞した「A Gentle Night」(17)等、一連の短編作品で高い評価を得てきた新鋭チウ・ヤンの長編デビュー作。ベルリン映画祭エンカウンターズ部門で初上映された。
監督:チウ・ヤン( QIU Yang )/ 中国、アメリカ、フランス、シンガポール / 2024 / 98分
■上映日■
11月24日(日)21:30 -
イスラエルのハイファに住む、あるパレスチナ人家族の物語。作品は4つの章に分かれており、それぞれの章が家族内の別の人物を中心に展開し、それぞれが相互に絡み合う構成になっている。国家や社会や文化がどのように強制的な支配を及ぼし、その圧力がどのように個人の人生を変え、破壊するのかについての一連のヴァリエーションにもなっており、一つの家族(あるいは拡大家族)の置かれている状況や人間関係の考察を通じて、イスラエルにおけるパレスチナ人とイスラエル人の分断状況や、軍国主義、あるいは女性に対する家父長主義的な制約といった民族や国家やジェンダーをめぐる深い文化的・政治的な背景が露わにされていく。2009年にイスラエル人監督ヤロン・シャニとの共同監督作品「Ajami」でカンヌ映画祭のカメラドールのスペシャル・メンションを獲得したパレステチ人監督スカンダル・コプティの2作目の長編作品(単独監督作としては1作目)。本作はヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映され、同部門で最優秀脚本賞を受賞した。
監督:スカンダル・コプティ( Scandar COPTI )/ パレスチナ、ドイツ、フランス、イタリア、カタール / 2024 / 123分
■上映日■
11月25日(月)21:05 -
タイからの不法移民の青年オームは台湾の山岳地帯の田舎町で老人や障害者たちの介護の仕事をしている。東南アジア各地からの不法移民たちを闇で働かせているボスの下、移民労働者たちの仲介役でもある彼は、ボスと移民たちとの間で板挟みになることも多い。そしてある日、彼が介護をしている老女から、重度の障害を持つ彼女の息子について、ある相談を持ち掛けられる……。現代の奴隷制度ともいえる環境の中で暮らす移民労働者たちの絶望的に悲惨な状況や、彼らの直接のボスよりもさらに上の階層の闇社会の権力によって構築された搾取のシステムの在り方が、説明を極力排した厳密な筆致で描かれていく。フレーム内外で見事に制御された絵画的な構図や、長い沈黙を恐れない編集のリズムの調整も秀逸で、長編監督1作目にして見事な完成度に達している。ホウ・シャオシェンとリャオ・チンソン(ホウ作品の長年の編集者)が製作者として参加。カンヌ映画祭の監督週間で初上映され、初長編作品を対象とした賞、カメラドールのスペシャル・メンションを授与された。
監督:チャン・ウェイリャン(CHIANG Wei Liang)共同監督:イン・ヨウチャオ(Co-Director:YIN You Qiao)/ 台湾、シンガポール、フランス / 2024 / 128分
■上映日■
11月26日(火)21:00 -
ジョージアでは、妊娠12週までの処置であれば堕胎手術は本来合法ではあるものの、社会的、あるいは政治的な圧力によって、それが実質的に違法状態になっているという。そんな保守的な社会において、多大なリスクを冒しつつ、他に選択肢を持たない女性たちを戸別訪問し、使命感のみに突き動かされながら、処置や手術を続ける一人の産婦人科医の姿をこの作品は描いている。社会的にも精神的にも孤立し、内面を蝕まれ、次第に心身のバランスを失っていく彼女の姿が、超現実的な描写を交えつつ捉えられていくのだが、その描写の強度や厳密さには誰もが圧倒させられるはずだ。パンデミックのために未開催に終わった2020年のカンヌ映画祭において入選の証である「カンヌ・レーベル」を与えられ、同年にサン・セバスチャン映画祭で最優秀作品賞を受賞した『BEGINING ビギニング』に続くデア・クルムベガスヴィリの長編第2作。本作はヴェネチア映画祭のコンペティション部門で初上映され、特別審査員賞を受賞した。
監督:デア・クルムベガスヴィリ( Dea KULUMBEGASHVILI )/ フランス、イタリア、ジョージア / 2024 / 134分
■上映日■
11月27日(水)20:55 -
高校の校庭での懸垂中に、内向的なシュオは、同級生のウェイが投げたバスケットボールが当たって落下し、足を負傷する。罪悪感を感じたウェイは、シュオに自宅でテレビゲームをしようと誘う。ウェイの両親と夕食を共にする中、シュオは母親が亡くなったことを明かし、アルコール中毒の父親から受けた虐待をほのめかす。しかしこれはウェイの両親の共感を得るための、シュオにとって最初の巧妙なステップだった。徐々にシュオはウェイの裕福なアパートで過ごす時間を増やし、確実に彼の両親の信頼を勝ち取っていく……。本作が長編デビュー作となるリン・ジャンジェは、見事な語り口の正確さで、目立たない侵入者が潜り込んだ中流階級家庭内における、変化する力学を分析している。完璧な彫刻作品のように、フレーム内のあらゆる要素を徹底的なコントロール下に置きつつ、巧妙で不可解な曖昧さを保ち、スリラー作品のような緊張感を持続させる手腕は見事としか言いようがない。サンダンス映画祭で初上映され、その後にベルリン映画祭でも上映された。
監督:リン・ジェンジエ( LIN Jianjie )/ 中国、フランス、デンマーク、カタール / 2024 / 99分
■上映日■
11月28日(木)21:30 -
サントーシュが警察官として働き始めたのは、殉職した警察官の未亡人が職を継承できるという政府の制度のためだった。慣れない仕事に順応していく中で、彼女はすぐに、昔ながらの警察のやり方を体験し、そこに否応なく参加することになる。性差別、汚職、権力闘争、そしてカースト制度や宗教による社会の分断。レイプされ、殺害され、地元の井戸に捨てられた、いわゆる「不可触民」である少女の死の捜査を、ベテランでカリスマ性のある女性警察官、シャルマ警部の指揮の下で担当することになったサントーシュは、彼女を刺激的な指導者であり、フェミニスト的な連帯の拠り所と見なすようになるが……。映画はあくまでもサントーシュ個人の視点を保ちつつ、彼女が何を受け入れ、内面化し、実践できるか、という感情の旅を描いていく。その過程で社会の腐敗を構造的で世代的なものとして描き出し、その複雑なニュアンスを見事な忍耐と厳格さで探求している。カンヌ映画祭のある視点部門で上映。第97回アカデミー賞国際長編映画賞部門のイギリス代表作品に選出されている。
監督:サンディヤ・スリ( Sandhya SURI )/ インド、イギリス、ドイツ、フランス / 2024 / 127分
■上映日■
11月29日(金)21:10 -
離婚して東京で一人暮らしをしているサラリーマンのヨージ。彼のことを心配してくれる母親もついに他界してしまう。意味のある人間関係は殆ど残っていないため、生きる意味がないという現実に彼は直面する。娘を養うために日本で介護士として働くミネルバとの偶然の出会いは、ヨージに自分の状況を新たな視点で見るように促す。そんな中、名前も知らない隣人の老人の腐乱死体が発見され、その死は孤独死と判定される。同じ運命を辿りたくないヨージは、用心深さを捨て、ミネルバを追ってフィリピンの首都マニラに向かうが……。孤独死という日本の現象を探求することから始まった本作は、2013年のタレンツ・トーキョー(当時はタレント・キャンパス・トーキョー)の受賞企画であり、監督兼脚本家のジャヌス・ヴィクトリアにとっては初の長編作品となる。どんな作品でも必ず光る演技を見せるリリー・フランキーがここでも抜群の存在感を発揮しており、ベテラン撮影監督の芦澤明子による、日本とフィリピンの空気感をそれぞれに映し出す映像も魅力的だ。
監督:ジャヌス・ビクトリア( Janus VICTORIA )/ 日本、マレーシア、フィリピン / 2024 / 102分
■上映日■
11月30日(土)16:10 -
模範的な生徒である16歳のミラは、ヒマラヤにあるエリート寄宿学校において、学校全体の行動と学習の基準を設定する責任者である監督生に女子生徒として初めて就任する。野心的で潔癖な性格にも関わらず、彼女は新入生のスリに対して初恋の痛みを覚え、最初の欲望に早々に屈してしまう。彼女の初恋と性欲に対する探求は、しかしながら、母親の介入によって思わぬ方向へと向かう。母親とスリの奇妙な親密さはミラの嫉妬と不安を引き起こし、母と娘の間にぎこちなく、重い溝を作っていく……。映画はインド社会の伝統的な価値観、とりわけ家父長制の陰が彼女たちの人生にいかにまだ影響しているかを検証しつつ、母と娘の間の絶え間ない駆け引きや緊張関係に迫っていく。美化や中傷をすることなく、親密さ、自己承認、裏切りや許しのほんの僅かな瞬間をカメラは捉えている。サンダンス映画祭のワールド・シネマ・ドラマティック部門にて初上映され、主演のプリーティ・パニグラヒの演技に対して特別審査員賞が授与され、同時に観客賞も受賞した。
監督:シュチ・タラティ( Shuchi TALATI )/ インド、フランス、アメリカ、ノルウェー / 2024 / 118分
■上映日■
11月30日(土)21:10 -
スアは韓国北東部の海辺の町、ソクチョにある小さなホテルで働いている。ソウルから数か月前に故郷に戻った彼女は、ソウルでモデルになりたいと思っているボーイフレンドのジュノと半同棲中。しかし、彼女の慎重に構築された日常は、ロシュディ・ゼムが演じる、ある程度名の知れたフランス人アーティスト、ヤン・ケランドの到着によって乱されてしまう。生前にフランス人の父親に捨てられた経験を持つスアは、ケランドと出会い、長い間彼女の中に埋もれていた感情と疑問を再び芽生えさせる……。エリザ・スア・デュサパンによる同名小説の映画化作品である本作は、若い女性のアイデンティティの探求と受容の過程を繊細かつ親密に捉えた作品。冬のソクチョというロケーションの持つ魅力に加え、アニエス・パトロンによる抽象的なアニメーション・シークエンスの導入も大きな効果をあげている。日系フランス人監督、嘉村荒野の初長編作品で、トロント映画祭のプラットフォーム部門での初上映後、サン・セバスチャン映画祭の新人監督部門でも上映された。
監督:コウヤ・カムラ( Koya KAMURA )/ フランス、韓国 / 2024 / 104分
■上映日■
12月1日(日)21:25 -