香川杏、21歳。シャブ中でウリの常習犯。ホステスの母親と足の悪い祖母と、3人で暮らしている。子どもの頃から、酔った母親に殴られて育った。小4から不登校。初めて体を売ったのは12歳で、相手は母親の紹介だった。希望はおろか絶望すら知らず、ただ繰り返される毎日。そんな薄暗闇の世界が、ある出会いをきっかけに少しずつ変わり始める。だが、やっと繋がった細い糸も突然のコロナ禍に断ち切られてしまい──。
2020年の日本で現実に起きた事件をモチーフに、『SR サイタマノラッパー』シリーズや『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』の入江悠監督が映像化。社会の中で「見えない存在」にされてしまった人々を、鎮魂と後悔の思いを込めてまっすぐに見つめる、入江監督渾身の一作。杏はたしかに、あなたの隣にいた。