1716年、ヴェネツィアのピエタ院。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリア(テクラ・インソリア)は、母の姿も愛情も知らずにこの院で育ち、毎晩こっそりベッドから抜け出してはろうそくの灯りで、宛名のない母への手紙を綴っていた。院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされ結婚するかしかなかった。そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディ(ミケーレ・リオンディーノ)がヴァイオリン教師として赴任すると、卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命する。ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか二人は心を通わせるようになる。そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻り、結婚が迫ったある日、事件が起こる......。
1678年3月4日-1741年7月28日
アントニオ・ヴィヴァルディは、同時代のバッハやヘンデルと並び、バロック時代を代表する最も重要な作曲家の一人である。ただ18世紀前半に名声を極めたものの、没後ほぼ200年にわたり忘れ去られてしまう。19世紀のバッハ復活の余波を受け、存在が一部に知られたが、20世紀初頭に大量の自筆譜がトリノ大学図書館に寄贈されるや、この非凡な作曲家への関心が再び呼び覚まされた。ピエタ院には1703年以来ヴァイオリン教師兼作曲家として断続的に奉職。代表作「四季」やオラトリオ「勝利のユディータ」が誕生した。