香港島から南西に船で30分ほど行ったところにある、小さな島・長洲。漁村としても知られる、のどかなこの島にある食堂には連日、島で暮らす人びとが行き交い賑わっている。島民たちは集まれば、ビールを片手にトランプやマージャンに興じる。しかし、社会の変化、市民の熱気は、香港島から離れた周縁の島にも伝わり、食堂に集う常連客たちも無関心ではいられない。テレビをじっとみつめる店主。懸命に情報を追う若者たち。それぞれの立場、それぞれの距離感で時代のうねりを受け止めていく。やがて世界を覆ったパンデミックは、この小さな食堂にも大きな影響をもたらしていく─。
監督は、本作が初の長編ドキュメンタリー作品となるフランキー・シン。生まれ育った長洲の中で、自身も通い詰めていた「日泰食堂」。家族のように接していた人びとが時代の変化とどのように向き合い、日々の営みを重ねてきたのかを丁寧に記録した。変わりゆくものと変わらずそこにありつづけるもの。やわらかな記憶と確かな生活の時間が積み重なっていく。2024年度釜山国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した、あらゆる世代のまなざしが折り重なるこの映画が、日本公開を迎える。