1993年『二十才の微熱』で監督デビューをはたして以降、第25回ロッテルダム国際映画祭グランプリに輝いた『渚のシンドバッド』(95)、第89回キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベスト・テン第1位をはじめ各映画賞を席巻した『恋人たち』(15)、『恋人たち』から9年ぶりに発表した最新作『お母さんが一緒』(24)など、国内外の映画ファンがその新作を待ちわびる"寡作の名匠"橋口亮輔。
ゲイカップルと一人の女性、他者と関わることを諦めかけていた彼ら三人がつくる「新しい家族のかたち」を描いた『ハッシュ!』と、一組の夫婦の10年を通して、人と人の間に生まれる希望を描く『ぐるりのこと。』。共に「オールタイム・ベスト映画」としてそのタイトルが挙がることも多く、"記憶に残る名作"として知られる2作品が、このたび4Kリマスター版としてよみがえる!
※当館では2K上映となります。
ゲイカップルに、「付き合ってくれとか、結婚とかじゃなくて、子どもがほしい」と精子提供による子作りを提案する女性。彼ら三人がつくる「新しい家族のかたち」をユーモラスに描き、2001年カンヌ国際映画祭監督週間に出品されたのをはじめ国内外で絶賛された『ハッシュ!』。生真面目な性格ゆえにうつになる妻と彼女を支える法廷画家の夫。何があっても離れない一組の夫婦の10年間を、90年代に世間を震撼させたさまざまな事件を背景に描き、2009年ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品された『ぐるりのこと。』。橋口監督が描く「家族」の姿は、令和のいま見ても新しい。「誰かとつながることで希望は生まれる」という2作品に共通するテーマは、SNSやAIが発達しパンデミックを経て、他者との関係が希薄になっていく現代だからこそ、さらに心に深く響いてくるに違いない。
今回の4Kリマスター版が公開されるにあたり、橋口亮輔監督と各作品に出演したキャストからコメントが到着した。
『ハッシュ!』の田辺誠一は、「自分を支えてくれる大切な作品」とコメントし、高橋和也は「願わくば映画が今も尚変わらない魅力を放っていますように!」と期待を寄せる。また、片岡礼子は「思いは溢れ過ぎてどこをお伝えすれば良いか分かりません」と、橋口監督から脚本を受け取った時の思い、カンヌ国際映画祭に参加した時の想い出を振り返る。そして、『ぐるりのこと。』の木村多江は、「撮影中は役と同化してしまい苦しかったのですが、橋口監督が私を役者にしてくださいました」と、うつになる妻を演じた苦しみと、それを乗り越えて成長したと語る。また、本作で木村演じる妻・翔子に優しく寄り添う夫・カナオを演じ、映画初主演を飾ったリリー・フランキーは、「この映画は、人の人生を優しく動かす力がある。僕も背中を支えられた、そのひとりです。」とコメント。橋口監督は、「4Kの鮮明な画像により、演者陣の非常に繊細で卓越した演技を隅々まで確認することが出来て自作ながら感動した」と、あらためて俳優たちの名演ぶりを褒め称えた。
『ハッシュ!』は第75回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞(片岡礼子)、第27回報知映画賞主演男優賞(田辺誠一)を、『ぐるりのこと。』は第32回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞(木村多江)、第51回ブルーリボン賞新人賞(リリー・フランキー)を受賞。数々の俳優賞に輝いたキャストたちの名演を、4Kの美しい映像であらためて堪能してほしい。
『ぐるりのこと。』
原作・脚本・編集・監督:橋口亮輔
出演:木村多江 リリー・フランキー 倍賞美津子 寺島進 安藤玉恵 八嶋智人 寺田農 柄本明
撮影:上野彰吾 照明:矢部一男 録音:小川武 音楽:Akeboshi
提供:中央映画貿易 配給:ビターズ・エンド ©2008 『ぐるりのこと。』プロデューサーズ
140分/ドルビーデジタル/2008年
『ハッシュ!』
原作・脚本・編集・監督:橋口亮輔
出演:田辺誠一 高橋和也 片岡礼子 秋野暢子 冨士眞奈美 光石研 つぐみ
撮影:上野彰吾 照明:矢部一男 録音:髙橋義照 音楽:ボビー・マクファーリン
提供:中央映画貿易 配給:ビターズ・エンド ©2001 SIGLO
135分/ドルビーデジタル/2001年