アメリカのロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌姫として知られ、ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルのミューズとして60年代に一世を風靡したドイツ人のニコ。本作は彼女の華やかな栄光の時代ではなく、1988年に彼女が49歳で亡くなる直前の2年間に焦点をあてた異色の音楽伝記ドラマ。
1986年、英マンチェスターで孤独に暮らすニコは、過去の名声から距離を置き、ヨーロッパ各地を巡るツアーに出るが、その旅は薬物依存や不安定な精神、周囲との軋轢といった問題と向き合う過酷なものだった......。ステージ上の姿と私生活の葛藤を交錯させながら、「ニコ」という偶像から脱却し、ひとりの女性=クリスタ(本名)として生き直そうとする彼女の姿をリアルに描く。アラン・ドロンとの間に生まれた息子アリとの関係や、東欧でのアンダーグラウンド公演などを通して、ニコの音楽性と人生が再び始動していく過程が静かに浮かび上がる。
1986年、イギリス・マンチェスターで暮らす40代後半のニコ(本名:クリスタ・ペーフゲン)は、ドアーズのジム・モリソンの勧めで自分の音楽を始めた時から自分の人生が始まったと感じている。新しいマネージャーのリチャードとバンドと共にヨーロッパツアーへと出発したニコだったが、薬物に依存しており、次々と問題を起こしてしまう。チェコスロバキアでのライブでは、プロモーターが地元当局に自分達のライブの許可を得ず、告知をしていないと知り、不安になるが、ステージに立った途端、観客は大熱狂。しかし、警察の強制捜査が入りライブは中断。ニコたちは危機一髪の状態に陥るが、逮捕を免れ、逃亡に成功する。
母としての後悔と葛藤を抱くニコは、薬物依存と自殺未遂でフランスの更生施設に収容されている息子アリを引き取り、ツアーに同行させるが……。