6年前に愛しあった女性シルビアの面影を求めて想い出の地をさまよう画家志望の青年を主人公に、アルフレッド・ヒッチコックの「めまい」('58)を想起させるオブセッションの恋物語を緻密に計算された音と映像で構成し、今だかつて誰も見たことのない斬新な手法の作品に仕上げた本作。
中世の街並みと先端技術の粋を集めた鉄道が違和感なく同居し無国籍な風情をかもしだすフランスの古都ストラスブール。この地で全篇ロケーションを敢行し、人々のざわめきや市電の通過音等、街のノイズをオーケストラのように奏でる見事な音響設計とガラスの反射や市電の窓からとらえた移動する風景の光溢れる美しい画面の連鎖が、見るものをどことも知れぬ異空間へと誘ってくれます。