猛毒を持ち、その毒性は死に至らしめることもある魚――フグ。
その危険性から世界では輸入を禁止する国がある一方、日本人は、何百年にもわたって「食べるのをやめる」のではなく、"どう食べるか"を追求し続けてきた。その知られざる奥深い世界を映し出すドキュメンタリー映画。
本作の監督を務める宇野航は、フグの面白さに魅せられ、この映画の制作をスタートさせた。その思いはやがて、自ら会社を辞め、私財を投じて取材・制作に打ち込む決断へとつながる。料理人、研究者、漁師、流通関係者、愛好家――。10年にわたりフグに関わるさまざまな人々を取材し続ける中で、宇野監督はフグをめぐる文化や歴史、そしてそこに人生を懸ける人々の熱量を記録してきた。フグに魅せられた人々を追う中で見えてくるのは、日本独自の食文化の奥深さ。そして近年、「無毒の餌を与えれば、フグは毒化しない」という研究成果が、新たな可能性と議論を生み出している。
命の危険と隣り合わせだからこそ、人はここまで夢中になるのか。フグを追うと、日本人が見えてくる。
そして本作のナレーションを担当するのは俳優・斎藤工。唯一無二の存在感と落ち着いた語りで、観客を奥深いフグの世界へと誘う。