11 / 29 [金] 公開
たのしいこともさびしいことも――
ひとりの少女が教えてくれる、
私たちが"かつて見ていたはずの世界"
あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに登下校してくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」―――。
奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありようが生き生きと描かれていく。
ひとり残された家の廊下で。みんな帰ってしまった教室で。オバケと行進した帰り道で。いつも会話は一方通行で、得体の知れないさびしさを抱えながらもまっすぐに生きるあみ子の姿は、常識や固定概念に縛られ、生きづらさを感じている現代の私たちにとって、かつて自分が見ていたはずの世界を呼び覚ます。観た人それぞれがあみ子に共鳴し、いつの間にかあみ子と同化している感覚を味わえる映画がここに誕生した。