5 / 9 [金] 公開
悪行まみれの小説家、靴屋との出会いから因果応報に
田舎の家で、慌ただしい様子で出かける準備をしている小説家の男(尾本卓也)。誰かと電話で話しているが、通話相手に大金を振り込ませようとしていたり、大事そうな原稿用紙をクシャクシャにして捨ててしまったりと、その行動にはどこか不穏なムードが漂う。これからデートをする女性とは、どうやら不倫関係にあるようだ。そんな男は急いで駅に向かっている途中、道端で強力な粘着剤の付いた板を踏んで靴が取れなくなり、立ち往生してしまう。目の前には、眼鏡の怪しげな男性(武田成史)の営む靴屋が。背に腹は代えられず、男はその靴屋から新しい靴を購入するが、「代金は後日支払う」と言い残してその場を去る。しかし靴屋は執拗に後を追いかけてきて不敵な笑みを浮かべ、男のことを「泥棒かと思った」とつぶやく。どうやら男の悪行を知っている様子の靴屋を前に焦った男は、靴屋がしゃがんだ隙を見て、コンクリートブロックを手に背後から襲い掛かるが……。
監督:武田成史
出演:尾本卓也 武田成史
真の被害者は誰?路駐から始まる男女の<カオス>な言い争い?!
付き合いたてのカップルである昴(矢本悠馬)といすゞ(田辺桃子)は、路上に停めた⾞の中でキスをしようとしていた。そこへ見知らぬ少年が現れ、ムードは台無しに。昴は⾞を発進させようとするが、前後の⾞が幅寄せして駐車されており、身動きが取れない。ついに後ろの車にぶつけてしまうと、中から「何してくれてんだよ!?」と、頭にタオルを巻いた強⾯の男性・⽇野(奥野瑛太)が激昂しながら出てくる。謝罪を求める日野ともみくちゃになるうちに、いすゞと日野ははずみでキスをしてしまう。自分がキスをする前に恋人の唇が見知らぬ男に奪われたことに昴は怒り、「被害者ぶるのもいい加減にしろよ!」と、いすゞを攻め始める。さらに前に停まっていた車の運転手・松田(雛形あきこ)は、「カップルがイチャついてるカップルが見えたから、嫌がらせしてやろうと思って」と、わざと車間距離を詰めたことを悪びれずに告白。それぞれの主張がもみくちゃになる中、⽇野が抱えた特殊な性癖が明かされる。
監督・脚本:加藤浩次
出演:矢本悠馬 田辺桃子 奥野瑛太 嶋田鉄太 雛形あきこ
テーマ曲「Love Deluxe」優河(作詞:優河 作曲:優河/岡田拓郎 編曲:岡田拓郎)
打倒AI!詐欺に立ち向かう男の奮闘劇
実家住まいの43歳男性・飯田昭彦(大重わたる)は、AIの進化により、仕事を失っていた。そこへ妹の麻里奈(エリザベス・マリー)からかかってきた1本の電話。「財布を落としてしまった」と泣きついてきた妹の口座へ、昭彦はすぐさま、なけなしの全財産である3万円を振り込む。しかしそれは妹本人の声ではなかった。世間では本人そっくりの声を使った巧妙な“AIオレオレ詐欺”が流行しており、昭彦もまんまとその被害に遭ってしまったのだ。仕事を探していた昭彦は、妹から紹介された起業家・幸福あかり(香月彩里)の元を訪れ、AI音声詐欺対策として、AIには絶対にわからない合言葉を作るというアルバイトを始める。そして二度と詐欺に遭わないように妹とも合言葉を考えるが、再び妹から金を要求する電話がかかってくる。果たして電話の相手の正体は?
監督・脚本:香月彩里
出演:大重わたる エリザベス・マリー 香月彩里
砂まみれの遺体は人の仕業か、はたまた呪いかー?
東海市で奇妙な事件が多発。各地で発見される遺体は全て砂によって窒息死した状態で、⿐や⼝から砂が溢れ、内臓にまでびっしりと砂が詰め込まれていた。事件の真相に迫るべく、捜査を続ける刑事の狭川(加藤シゲアキ)と遠山(正⾨良規)。遠山は「犯人は本当に人間なんでしょうか」と、悪魔か何かの所業なのではないかと訴えるも、狭川は真剣に取り合わない。一方で遠山の家の中には砂が徐々に入り込み、彼は不穏な夢を見るようになっていた。“砂の呪い”を調べていく中で、遠山は怪しげな⽼婆(加藤五十鈴)に辿り着く。老婆の元を訪ね、砂を投げつけられる儀式を受ける遠山を、狭川はこっそりと尾行していた。そこへ事件の容疑者の情報が入り、捕らえた男(章平)は「あいつら、俺の砂を奪ったんだよ。俺のものだったのに」と告白。しかし中には、彼が殺していない被害者もいるという。果たして事件は本当に“砂の呪い”の仕業なのか?
監督・脚本:加藤シゲアキ
出演:加藤シゲアキ 正門良規(Aぇ! group)
章平 加藤五十鈴 小林葉菜 木下真一 近藤隆 竹内誠人
2人の父親が防空壕の中で向き合う“正しい”人生の選択
砲撃の音が鳴り響き、イチゴの乗った机が揺れる。緊張した面持ちで身を潜めるスーツの男性2人は、結婚式を挙げたベンとウィリアム、2人の息子の父親だ。結婚式の会場を爆撃が襲い、息子たちは命を落として、唯一の生き残りである父2人が防空壕の中に逃げ込んだのだ。ウィリアムの父がイチゴを買った理由を「ベンの好物だったから」と語ると、ベンの父は「ベンがイチゴを好きなことは知らなかった」とポツリ。するとウィリアムの父は「『僧と虎』の話をベンから聞いたことはないのか?」と尋ねる。「僧と虎」とは、虎に追い詰められた僧が、わずかな生の可能性を求めて戦うことよりも、死ぬ前の至福の瞬間としてイチゴを味わうことを選んだという逸話。武装集団と戦うのではなく結婚式を挙げることを決断した息子2人は、そんな僧の姿に重なる。理解できない様子のベンの父に、ウィリアムの父は「君も正しくて、ベンも正しいとしたら?」と投げかける。人生において“正しい”選択とは存在しうるのか。父親2人の対話が真理を問い直す。
監督・脚本:坂本ショーン
出演:リチャード・カインド スキップ・サダス